POPSにも果敢にチャレンジ!クラシック作編曲家 田丸和弥の音楽日記

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ショパン ノクターン変ホ長調 Op.9-2 解析

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本日はとうとうピアノの詩人と言われるショパンの作品についても触れてみようと思います。

最初は比較的単純な(?)曲から。

「ノクターン Op.9-2 変ホ長調」のアナリーゼ(解析)なんてものをしてみようかと思います。

中級奏者にとっては、一度は弾いてみたい曲!ではなかろうかと思われます。なんといっても有名だし、美しいし、情熱的な部分もあるし…でも、そこまで難しくありませんよ。この曲。

 

ということで、演奏の参考や、「へー」的な視点をお届けできればと思っております。

あくまで、私の個人的見解ですので、参考程度に考えてくださいませ。

 

 

ショパンのノクターンを解説・解析(アナリーゼ)してみる ピアノ 弾き方

基本情報(拍子、調性、構成など)

8分の12拍子、変ホ長調、アンダンテ。

この形式はなんというのでしょうか…A-A-B-A-B-A-コーダ。三部形式の変形とみなしてもいいようにも思いますし、ロンド形式(?)とみなしてもいいように思います。

小節数で言いますと、4(A)+4(A)+4(B)+4(A)+4(B)+4(A)+10(4+6(カデンツァ含む) コーダ)です

 

調性については、

A:変ホ長調

B:変ロ長調 

とみなしてよいかと思います。

Bの部分は部分転調が比較的多いですね。

 

ここまで見ていただいてお分かりかもしれませんが、この曲、超有名曲なのですが、構造がとても単純です。

Aの部分もBの部分も装飾的な変奏が入るのみで、ほぼ一緒。

ということは、適当に弾いていると「飽きられてしまう」ということですね。技術的には実は、とても難しくはないのですが、この構造が単純である。というのが難易度を引き上げていると言えるでしょう。

各部解析

主部:日本人大好き

超有名な部分ですね。

 

 

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  • 赤字:倚音および倚和音と考えられる部分
  • 黄土色:掛留音と思われる音
  • 黄色:日本人大好きSus4
  • 水色:ベースラインの音域に注目。後述
  • 緑:装飾音の奏法。後述
  • 青:インパクトのある変奏。後述

 

強拍や和音変更点に表れるとても重要な非和声音である倚音、また倚和音と考えられる部分は、情感アクセントをつけるの必須です!とても大切です。

また、黄土色については、掛留音ととらえられます。4拍目の時点では、Eb音とG音しかありませんが、5拍目、6拍目の音から4拍目の和音を推測するとEb音上のDdim7と考えられます。Ddim7にはG音は含まれませんので、非和声音。タイでつながれており、和音変換点に配置されている…といったことから推測されます。

www.petit-orchestra.jp

掛留音についても、倚音同様、表現の上で、重要な役割があります。この音にアクセントをつけることはできませんが、和音をイメージして演奏するといいと思います。

 

これ日本人すきやろ~、とつぶやきましたが、その理由の一つです。黄色のところですが、Sus4 7という和音ですね。

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1拍目のEbは本来D音であるべきところがわざとEbに吊り上げられてています。

このsus4は吊り上げられた状態から本来の状態に解決…というパターンで使われることがおおいですね。

往年の日本の名曲のサビ前なんかこれ多用されますよ。

「かもめが飛んだ日」とか「翼をください」とか一杯見つかります。

何がいいたいかと言いますと、この部分のEbの音は「吊り上げられている」「わざと収まりが悪くなっている」という状態を意識して演奏すると雰囲気が出ます。

 

水色の部分。

ベースラインに注目していただきたいです。最初の小節は低いオクターブに配置されている音が多いですね。5小節目は全て上のオクターブに配置されていますね。

音がキュッと詰まっている方が緊張感高めな演奏にした方が良好だと思います。ここから変奏が始まることもありますしね。

蛇足:10拍目のベースがDなのが、なかなかすごいなと思いました。ベースラインがEb-D-Cと経過的に変化しているだけなんですけれども、旋律と短九度。

 

装飾音「ターン」の演奏方法についてです。

「S」をひっくり返して倒したような形ですね。

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実はこの譜面は振ってある指番号から推測ができるのですが、「C、D♯、C、B、C」と演奏します。軌跡をたどっていただければ推測できると思うのですが、左のポッチを基準(1)とすると、筆跡が上(2)へ行きます、下へ向かって真ん中へ(3)、下に(4)行きます、上方向にポッチ(5)

とこの位置関係から、元の位置、2度上、元の位置、2度した、元の位置。と演奏するというのが推測できるかと思います。

また、このターンには、上に♭、下にナチュラルが付いておりますので、基準音Cに対する2度上のDには♭を付ける(すなわちDb)、2度下のBb*1には♮を付ける(すなわちB)となります)

 

ここらへん、装飾音の変化記号については、共通です。

トリルの例。

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青い矩形の部分。ここは変奏に入っている部分なのですが、1小節目の7拍目~11拍目までと見比べてみてください。1小節目では、Eb音が10拍目に来ているところ、5小節目では、8小節目すなわち前倒しされてますよね。一種のシンコペーションのような効果を期待していると思われます。

ここも情感を込めて演奏してみてください。アクセントもついていますしね。

 

主題と変奏、旋律の変遷

さて、ここで違って視点でも1つ分析してみましょう。

この曲では主題が3度変奏されて登場します。それを比べてみましょう。

ノクターン主題と変奏、旋律の変遷の様子

ノクターン主題と変奏、旋律の変遷の様子

徐々に複雑になっているのがわかるかと思います。

主題および各変奏の異なる部分をよく把握して、確実に演奏しましょう。

第二第三変奏の4小節目については、音が入るだけの時間は掛けて構わないでしょう。

無理やりつめて、窮屈な感じにならないようにしましょう。

(あまり遅くするのは考え物です)

赤丸は倚音、ベージュ丸は掛留音です。緑は和声音を飾る音で、後部倚音(ただし、2つ目のDbは「C-Db-C」の動きから刺繍音ともとらえられます)と呼ばれるものです。和音転換点または、強勢に置かれませんが、倚音に準じる大切な音と考えてよいでしょう。

実際、第一変奏と第三変奏の主だった音にはアクセントがついていますね。

 

倚音および後部倚音は修飾する音

倚音も後部倚音もそのあとに配置される和声音を修飾する音です。そのために他の音と比べて情感を込めて演奏する必要があります。

例えば、変奏の2小節目に出てくる後部倚音なんかは、もともとはこんな単純な音形だと考えられます。

後部倚音を取り除くと

後部倚音を取り除くと

大分シンプルになりますよね。これはこれでよいと思いますが、変奏にあるような切なさはないですよね。

この変奏の後部倚音は和声音の短二度上下から和声音へ解決しています。半音の作り出す切なさを利用してるんですね。

 

おそらく皆さん、後部倚音という言葉を知らずとも、ここに切なさを感じていたと思うのですが、 この存在をわかった上で楽譜を咀嚼して演奏すると、さらに演奏に説得力を与えることができるでしょう。

 

中間部:ふっと別の事に気を取られたような…

ふっと…は私の感覚です。少し、リラックスした…というか、最初の部分はそんなイメージがありますね。後半は劇的になるのですが…

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  • 緑:アウフタクト
  • 赤字:倚音
  • 黄色:リズム形に注目、後述
  • 青字:コードに注目、後述

 

緑で囲ったものは、アウフタクトです。主部の終わりの音ではなくて、中間部の導入の音です。

 

中間部の倚音については、主部にあるものよりはさほど強い意味はないかなと、個人的には思います。経過的というか…3小節目よりは4小節目はやや強調してもよいかな…くらいです。

 

どちらかというと、中間部ではないのですが、4と降った次の小節の赤字にある倚音は大事です。こちらは情感を込めて演奏してください。

 

中間部については赤字の部分より、黄色で囲った部分の方が情感を込めて演奏する必要があるかなと思います。

和音交換点ではありませんが、付点の音は倚音的な音、大事な音とみなしてよいかなと思います。わざわざその前までより長い音価が割り振られておりますし、これは「この音に時間をかける意味がある」と作曲者が見なしたと考えてよいかと思います。

 

青字の部分です。

 

この記事の「Cの部分の最後について」の部分と同じようなイメージです。

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コードが目まぐるしく変わり、原調にたどり着く部分です。ここにはpoco rall.とすでに書いてありますが、もし書いてなかったとしても、和音の移り変わりが伝わるように多少時間をかけて演奏するのがよいと思われます。

コーダ:切ないポイントの多い最後の見せ場

第6音を半音下げたminorコードが多く使われており、切ない雰囲気にあふれている部分だと思います。

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  • 赤字:倚音
  • 黄色:倚音ではないけれども、倚音的な役割のある部分

IVm → Iの繰り返しが多く、切ない部分ですね。いい雰囲気のところです…

赤字、黄色は大事な部分ですが、赤字の部分は特に大切にすべきかと思います。

上の段の10小節目はコードの異質さから言って、下の段1小節目は、Bbに対する半音であるCbという点から言って、とても強い情感アクセントが必要だと思われます。

 

黄色の部分は、中間部の黄色と同じような効果があると考えられます。

 

 

後半です。

 

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  • 赤字:倚音
  • 青字:大幅な跳躍
  • 緑:意味!大事です。

この部分は大ラスを飾るもっとも華麗な部分なので、キーとなる音や指示が多いですね。

この部分の赤字の倚音はとても大事です。特に、一番下の段の付点2分音符のCbの倚音。ffでこれだけ長い時間(しかもsenza tempo)を使っているので、それに見合った演奏が必要です。

 

続いて、青字。オクターブ跳躍してますね。大きな跳躍は物理的にジャンプするときと同じように、大きなエネルギーが必要です。

 

続いて、緑。

con forzaは「力を込めて」や「強さを込めて」という意味です。その意味するように演奏しましょう。

stretto:ただテンポを上げるのでなく、緊迫感を伴います。車のアクセルをただ踏むようなのと違い、こみ上げる何か、差し迫る何か、みたいな感覚を伴う演奏が必要でしょう。

senza tempo:senzaはwithoutの意味です。なので、テンポなしに。テンポ無しにってどういうこと?というと、今まであった(揺らぎはありつつも)一定であった拍節感を失くすという意味です。必然的に遅くなるでしょう。

技術的なポイント

テンポを保つのと跳躍に慣れましょう 左手の練習

こういう歌う曲については、旋律は歌いつつも、テンポは一定にキープする必要があります。なので、左手でノリが作れるようにするのが大前提でしょう。

また、左手はベースラインと内声の伴奏でかなり跳躍を伴う部分が多いですので、感覚をつかむまで練習あるのみです!

 

どこをどう聞かせるべきか? 和音のバランス注意

中間部の終わり、コードが目まぐるしく変わる部分については、和音のバランスが凸凹しないように注意が必要です。

縦のライン(同時に鳴る要素)についてももちろんですが、横のライン(どの音がどの音にどのようにつながるのか?)についても十分検討し、表現できるようにしてください。

 

なお、蛇足かもですが、この部分和音一つ一つに軽めにペダルを付けてもいいかもしれません。ただし、前の音が残らないようにはしてください。お好みで!

 

3に対して、4入れたり8入れたり... 難しい連符

いくつか出てきますね。

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上は3つに対して4つ入れる。

下は、3つに対して8つ入れる。

 

ぶっちゃけ、下については、テンポルバートにしている演奏が多いですし、それでもさして違和感ないかなとも思います。無理やり素早く入れてもおかしい気もします。

 

上については、入れたほうが格好いいでしょう。

3文字と4文字を1拍に入れる練習。「例えば、トマトとにんじんを1拍に交互に入れてみる」や左手で膝を3回(or 最初は6回でも可)と右手で膝を4回たたく、などで、感覚をつかんでみるとよいかと思います。

 

八分音符でなく、四分音符! 書いてある通りに!

大ラスです。

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この赤で囲んだ部分ですが、Bb音がわざわざ4分音符で重ねられてますよね。しかも、最後はタイ。

これが表現できるように気をつけましょう。親指で弾くであろうBb音を音価分延ばす(押しっぱなしにする)だけでも意味があるでしょう。

 

楽譜の入手方法

超有名曲だけあって、全音ピアノピースにももちろんあります。

難易度はA~Fのうち、なんと上から2番目のE…

 

えぇぇぇぇぇぇぇぇ。本当…

多分、この曲らしく弾くのが難しい…という意味なのだろうと思います。

おそらくただ弾くだけであれば、Cでもいいくらいだと思います。私の体感的に…

ピアノピースー135 夜想曲(9ー2)/ショパン (全音ピアノピース)

ピアノピースー135 夜想曲(9ー2)/ショパン (全音ピアノピース)

 

 

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こちらも超有名曲リストの愛の夢第三番を解析してみました。

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おまけ動画

知らない人はいないでしょうが、こんな曲ですよ。

www.youtube.com

*1:調号が有効なので、BでなくBbと解釈します