- 今日はタイトルの通り、木管楽器奏者にお勧めの編成とその作品をご紹介してみようと思います。
スタジオ・ジブリメドレー 木管五重奏とピアノのための
木管五重奏とピアノの編成 おすすめアンサンブル
ということで、今日はまず、アレンジ作品の音源を貼り付けてみます。
動画!スタジオジブリメドレー
木管五重奏とピアノシリーズです。
私のチャンネルでダントツ一位の再生回数です。さすが、ジブリ。さすが、久石譲…オリジナルで回数を稼げるようになりたいものです。何度か演奏会で取り上げたことがありますが、お客さんからは毎度好評をいただいて、お勧めの曲です。
楽曲一覧はこちら
- ハトと少年、天空の城ラピュタ
- さんぽ、となりのトトロ
- 晴れた日に、魔女の宅急便
- ねこバス、となりのトトロ
- 風のとおり道、となりのトトロ
- 海の見える街、魔女の宅急便
- あの夏へ、千と千尋の神隠し
- アシタカせっき、もののけ姫
- 崖の上のポニョ、崖の上のポニョ
- 人生のメリーゴーランド、ハウルの動く城
ちなみに、とりを務めます「人生のメリーゴーランド」いい曲ですよね。映画の方は賛否両論あるようですが、僕は好きでDVDを持っていたりします。
このメドレー、最初はこの公演のために作られたもので、販売は考えておりませんでした。
しかし、動画公開後に「売っていないのか?」という問い合わせが多かったこともあり、弊社であるHID楽譜出版とスタジオ・ジブリさまとで交渉の結果、販売にこぎつけることができました。
ただし、一部楽曲(アシタカせっきを君をのせてへ etc...)を差し替えておりますので、その点ご注意ください。
ちなみに、増版の予定はありませんので、現品限りとなります。
お早目のご購入をお勧めいたします。
さて、続いて木管五重奏とピアノの編成の魅力について語ってみたいと思います。
木管五重奏にピアノを加えた編成を勧める理由!
隠れた需要があるのではないかと推測しております、木管五重奏とピアノによる六重奏の編成。この編成、一般的とは言い難い形態ではあるのですが、お勧めできるポイントがたくさんあるので、それをを記してみようと思います。
音色が増え、非常に表情豊かになる
弦楽四重奏、サックス四重奏、金管五重奏など他のメジャーなアンサンブルと比べて、木管五重奏自体多彩な音色を聴かせる編成であります。いってしまえば、木管五重奏の中に異なる発音体の楽器が4つもあるからです。
エアリードのフルート、ダブルリードのオーボエとファゴット、シングルリードのクラリネットそして、リップリードのホルン。
そんな多彩な音色が特徴の木管五重奏にピアノが加わることによって、弦楽器、打楽器の特徴を持つ響きが追加されます。
弦楽オーケストラや金管バンドと比べて吹奏楽が、吹奏楽と比べてオーケストラが響きの多彩さという点で勝ると思いますが、これは発音体の多さに起因していると考えられます。
カバーできる音域が増える
一般的なピアノと木管五重奏の音域を比べたものです。木管五重奏は特殊楽器や奏者の技量によってもう少し広くなりますが、一般的なものを比べるとピアノは上にも下にも1オクターブ音域が広くなります。ピアノの持つ音域はフルオケより少し広い程度といとてつもないものです。
そのため、例えばファゴットより下でコントラバスのような音域と音色を出して響きを豊かに、どっしりしたものにもできますし、フルートより上の音域で、グロッケンやピッコロのようなキラキラした音色を奏でることも可能になります。
同時発音数が倍以上に増える
ピアノは一人で一度に多くの音を奏でることが可能です。そのため、和弦自体が豪華になります。これに木管五重奏の分も含めると密集配置で、かつ多くのオクターブにまたがった和弦が実現可能になります。
木管五重奏の場合密集配置だと、(特殊ケースを除けば)同時発音数は5個なので、多くのオクターブにまたがるのは不可能です。
管楽器奏者の体力的負担が減る
ピアノが入ることで管楽器奏者に休息が与えられる可能性が増えます。
譜面上は演奏しなきゃいかなかったとしても、ピアノや他の管楽器とかぶさっているために、どうしても辛いときはばれないように…なんてこともできちゃいます(推奨はいたしかねます)。
仮に、木管五重奏だけで1時間の演奏会をやるとしたら、体力的にかなりハードです。吹奏楽器の演奏は疲れます。
私はアマチュアオーボエ吹きでありますが、30分の演奏会ですら不安で、1時間木管五重奏だけのプログラムだとしたら、悲壮感が漂う姿をしていることでしょう。
そこにもしピアノが入ったとしたら!
まさに、救世主です。
また、演奏会という視点で言うと新たなブレークタイムが確保できるかもしれません。
ピアノを伴奏に管楽器の独奏を何曲か取り上げることや、ピアノソロをプログラムに組み込むこともできます。
その間ソロをやっていない管楽器奏者は休息をとることができます。人数も楽器も多いオーケストラや吹奏楽をやっているわけではないので、休息の時間、本当に貴重です!
また、鑑賞している身になって考えてみても、ピアノが入ると響きが変わって飽きませんよね。木管五重奏、ソロ、木五+ピアノ、もしピアニストがOKしてくれたらピアノソロを入れたっていいんです。ピアノソロ曲は有名なものが一杯あります。
ほら、集客の意味でも魅力が詰まっています。
木管五重奏団で活動しているみなさんがもしいらっしゃいましたら、是非ピアノを入れての演奏も検討してみてくださいー!
で、よろしかったら、ついでに、この譜面を使ってみてください。
ジブリ楽曲は知名度抜群で、お客さんにうけること間違いなしです!
木管五重奏とピアノのレパートリー
1曲だけでは演奏会を成立させるのは難しいですよね。ということで、何曲かご紹介してみようと思います。
六重奏曲 (テュイレ)
レ・ヴァン・フランセの演奏でも有名になりましたね!ブラームスのような重厚な響きとロマンティシズムにあふれるロマン派の隠れた名曲です。4楽章構成30分超、まるで交響曲か!?と思われるような大作です。
トゥイレとの表記もあります。
六重奏曲(プーランク)
この編成では言わずと知れた名曲。急-緩-急の3楽章構成です。ピアノがとても難しいですが、是非取り上げてみていただきたい。おしゃれな楽曲です。
過去にアンサンブル・ミルフィーユの公演で取り上げたこともあります。
第一楽章
第二楽章
第三楽章
六重奏曲(レオ・スミット)
個人的にイチオシなのがこの曲。試聴できますので、是非聴いてみていただきたいです。(最初の3曲です)
この編成の中でも比較的マイナーな方だと思うのですが、とてつもなく面白い曲です。
第二次世界大戦中にナチスによって殺害されたオランダの作曲家レオ・スミットによる作品。20世紀初頭に生きた人だからでしょうか、ジャジーかつクラシカルな響きをもっています。それでいて、クラシカルな形式美というか様式美をも持った曲。ダイナミックで、テンポ感も疾走感あるもので、近代的な響きが受けること間違いなしです。
楽譜の入手先を発見しました!
カスカディアンコンチェルト(エリック・エワイゼン)
現役の大学教授である、エリックエワイゼン作曲の作品です。
元々は木管五重奏とオーケストラのための協奏曲という、かなーり珍しい編成の楽曲です。
4楽章構成です。
第一楽章
第二楽章
第三楽章
美しい楽章です。フルートとホルン、ピアノのためのバラード、パストラールとダンスのパストラールに通じるような楽曲です。このパストラールお勧めです。
2本のトロンボーンとピアノのための楽譜もあります。
ディベルティメント(ルーセル)
単一楽章のおどけた雰囲気と不可思議な怪しい雰囲気の両面を持った曲です。
アンサンブル・ミルフィーユで演奏したことがございます。
木管五重奏とピアノのアレンジ(楽器法)について
演奏視点から外れて書き手視点についても記載してみたいと思います。
最近、吹奏楽ばかり書いていたので、中低音のフルートを音量と音色を単独でカウントとして書く…ということがありませんでした。(中低音のフルートの音色を生かした書き方とでも言いましょうか、何かと重ねて書くということはあったけれども、その場合はフルートはあまり聞こえないし、音色要素として取り上げるほどの効果がでない…)
しかし、この時はそんな使い方もしておりました。
アシタカせっき(12:25あたり)のところですが、オーボエとクラリネットでフルートを挟んでいるのですが、面白い音色になっていると思います。フルートの音としては認識できないかもしれませんが、混合音色の妙とでもいいましょうか。あらためて聞くと、クラリネットの低音というのも大変ユニークな音がします。
ソロ同士の組み合わせというのを、改めて見直してみるのもいいかもと思います。
と、こんな具合に、アレンジャー視線でも木管五重奏とピアノの編成というのはとても魅力が詰まっていますし、各楽器の書法が上達する可能性を秘めています。
個々の楽器の限界をチャレンジもできます!
やってみてくださいね!
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