ピアノを弾く皆さん!
昔弾いた曲を急に思い出して弾いてみたことはありませんか?私はたまーにむかーし買ったピアノピースを取り出して弾いてみることがあります。
今日はそんなお話をしてみようと思います。
聞き覚えとは。。。 楽譜を理解してから演奏する重要性
楽譜をもう一度よく見てみましょう!
さて、実際に懐かしい曲を弾こう!そう思ったときに、実際に楽譜取り出してきて見ながら演奏してみることをお勧めします。
凄腕のみなさんは「暗譜していて楽譜を取り出さなくても弾けちゃう!」って人もいると思いますが、是非、よーく楽譜を見てみてください。
新しい発見があるかもしれませんよ!
なぜ、私が譜面を見て弾いてみるのをお勧めするか、この記事を通して書いていこうと思います!
サンプル「花の歌」(G.ランゲ)
ピアノを弾く人にはメジャーな楽曲の動画をば
花の歌
です。私が電子ピアノで弾いております(^_^;
クラシックピアノを習っていた人は一度は演奏したことがある曲ではないでしょうか?
この曲、サロンコンサートで流行した楽曲らしいです。芸術的というよりは、もう少し軽い感じの楽曲にあたるのではないでしょうか。 でも、パッと聞くには華やかだし、いい曲だと思います。ピアノを習ってしばらくした人にとって、この曲を弾けるようになるのが憧れ…という方もいたように思います。(当時の私はそうでした)
小学校当時のピアノの曲集のカセット(なんて、今の人知ってます?)に入っていたりする曲で、当時弾いてみたいなと強く思っていた曲でありました。
正しい譜面を見てみましょう
さて、本題です。
この曲の譜面はどうなっているでしょうか?
冒頭を見てみましょう。
こうです!
私の演奏こういう風に聞こえますでしょうか???
みなさんはこの通りに弾いてらっしゃいましたか???
なんでこんなことを言うかと言いますと、「もしかしたら、こう弾いていたのでは!?」
と思う例が頭にあるからです!
こんな風に弾いてませんでしたか???
こんな風に弾いていた方もいらっしゃるように思うのですがいかがでしょうか?
と思う譜面を記してみます。
赤く囲った部分が本物の譜面と違いますね。なんでこんな譜面を提示したのかというと、身に覚えがあるからです。
はい、何を隠そうこう弾いていたのは小学生当時の私でございます。
では、なぜこのような弾き方をしていたのか?と言いますと、参考音源をそのまま、あるいは誤解して覚えてしまい、聞き覚えで弾いてしまっていたから!なんですね。
カセットテープやレコードがあった当時、この曲を聴いてから弾きたいなと思って取り組んだところ、譜面を見ながら弾いているにも関わらず、譜面とは違った弾き方をしてしまっていました。
ピアノを習っていたみなさんもそういう経験、聞き覚えで弾いてしまっていた経験はありませんか???
これは、ピアノ学習者あるあるな気がします。小さいときに聞いて、好きになって、レッスンで弾いた曲というのは、かなーりこのケースが多くて、大人になってから、譜面を見直すと「おぉ!?」となることがあります。
聞き覚えで弾くと正確にならない!
この曲も、最初の例で示したように冒頭の左手の伴奏形は3連符が正解なのですが、当時は、間違った例のように16分音符+32分音符+32分音符みたいにして弾いていました。
最初の音と次の音が離れているので、物理的に弾くのが難しいというのもあったとは思いますが、「当時聞いていた音源がそんな風に弾いていた」という理由も大きいと思います。
確かに、最初の音と次の音を少し間を持たせて弾くという弾き方。理解できなくはないのです、最初の音は強拍の大切な音出し、ベース音だし、少し長めに弾くのは妥当な範囲内だと思います。
ただし、程度によります。
もう一点、右手にも注目!正しい譜面を見ていただけるとわかると思うのですが、この曲の旋律は「A-Bb-A-G-D」階名唱だと「ミファミレラー」なのですが、下の楽譜のように「AEBb-A-G-D」と旋律が変わって聴こえてしまう弾き方をしていました。
これについては、当時聞いていた音源が悪いとばかり言えず、その音源をあやまった解釈をして弾いていたという可能性もあります。
これ、実はピアノだけにとどまらず吹奏楽団でもよーく起きる現象です。実際に地元楽団の練習に参加していても、演歌やポップスの練習をやっていると、譜割と違って演奏している!というケースにぶつかることがよくあります!
聞きおぼえで弾くのはなぜよくないのか?
これは、単純に楽譜に書いてあることと違うからです。
明らかに下の例に聴こえる弾き方をされたら、作り手としては特に違和感を感じます。だって、下のように演奏して欲しいなら、下のように書けば済む話だからです。
同様のケースはたくさんあって、ラ・カンパネラ(リスト)の最後の右は半音階で上り、左は半音階で下がるところは、C# minor の主和音に入る前に溜めていた(記譜にはない)し、別れの曲(ショパン)の中間部の減7の和音のところは一拍目を8分音符のように弾いていたけれども実際は16分音符だ(タ、タタタタが正解だけれども、タン、タタタタと弾いていた)し、舟歌(チャイコフスキー)の中間部とラストのシンコペーションのところはシンコペーションではなくカウントしていたし etc...
要は譜面を見て弾いていたにも関わらず、見ていなかったということなんですよね。
ただ、やみくもに、これがダメだと言うのではありません。「ちゃんと譜面を理解したうえでの能動的な選択でしょうか?」ということを問いたいです。
上記の例の間違って聴こえる演奏も、解釈によってはありなんだとは思います。なぜなら前にも書いたように、その意味は分かります。
楽譜を使って演奏するのであれば、作り手の意図はやはり理解したうえで取り組む必要があると思います。
と、ここまで行ってなお、聞いたときに表記と異なったリズムと認識するほどアゴーギクを変えて演奏するのは、なし…だなと今は思っております。
異なったリズム、奏法だと思わない範囲で遊ぶのが上品ではないでしょうか?
作り手は想像以上にいろいろ考えて音符を配置していますよ!
逆に、奏者が思っている以上に楽器の特性を理解していないケースというのもありますが…その時は笑ってやりましょう。知人だったら是非指摘してやって下さい!
熟練した奏者からの指摘については、作り手は受け止めましょう!(私もそんな経験がごまんとございますよ)とても勉強になります。
最初にもどります。原典に立ち返ってみて、昔やったなーと古い懐かしい曲の楽譜を開いてみて、新たな発見をするのも楽しいし、取り組み方の反省にもなるし、勉強にもなると思います。
是非、やってみてくださいね!
ちなみに、サンプルに取り上げましたこの譜面、お手頃ですよ!
楽譜を理解するとは…楽曲を分析できるようになることである!関連記事
見出し、タイトルの通りなのですが、楽譜に書いてある通りに演奏するには、楽譜を分析できないといけません。というのも、楽譜にはすべての情報を視覚的にわかりやすく記載することは不可能だからであります。(たとえば、フレーズはどこからどこまでなのか?などを文章で記載されているものはありませんよね?)なので、自分で解釈できるようになる必要がありますよ。
楽譜の解釈のヒント記事です!
言葉の響きの難しさに囚われず、是非読んでみてくださいね。実際は単純なんですよ~
案外曖昧になりがちなトリルについて(上の音は全音とは限りませんよ~)
楽曲分析方法のテキストをご紹介しています。
*最後演奏に関する反省、強烈な不協和音がでてくるところなんかは、譜割を無視するのとは意味が違いますけれども、もっとアゴーギクを意識して揺らして演奏したほうがいいような気がしています。
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