ふと、ブログ管理画面、ダッシュボードを眺めていたら、いいニュースが飛び込んできました。
はてなブログ、JASRACと歌詞利用の包括契約締結
はてなブログが歌詞利用についてJASRACと包括的利用契約をしたそうです、これにより、JASRAC管理楽曲の歌詞をブログ上で利用することに関して、ほんの少しの注意事項*1さえ守れば気兼ねなく使えることになりました!
はてなブログにおいて、歌詞を利用したいときに、利用者が個別にJASRACに手続きをするのでなく、はてなブログが一括して手続きをしてくれるということです。
素晴らしいです!
経緯はどうあれです。
たとえば、「この歌詞のここの部分が好きなんです!」「この歌詞を聞くと涙がでるんです…」なんて言うときに、歌詞を使わずに表現するのは難しいですよね。
他にも…たとえば、楽曲の解説をするにしても、譜面を使うこともできない上に、歌詞も使えない場合は、いったいどうやって説明したらよいのか…(でも、無理やりやったことあるけど)と途方にくれることでしょう。でも、歌詞が使えるのであれば「歌詞のこの部分!」という指定をすることができ、説明が格段に楽に、また受け手にもわかりやすい記事が書けるようになりました。
昨今のインターネットの繁栄に乗って、多くのメディアが著作権管理団体と包括利用契約を結んでおりますが、とてもよい傾向だと思います。
この契約を結んだサービスを使うことで、作者に還元することさえできるようになりました。好きなアーティストや応援している作家さんには少しでも力になりたい…というのが人情というものではないでしょうか!
また、私個人の考えですが、利用料を払うのが嫌だ…というよりも、何をどうしたら手続きが完了するのかがわからない…、どこに問い合わせたらいいのかがわからない…、そもそも手続きそのものが面倒くさい…などの理由で躊躇してしまったり、「やーめた」となる方が多いのではないでしょうか?
私がまさにそんな感じで…「どうしても!」というものや「仕事で頼まれたから…」というものについては、手続きをするものの、それほどでも…というものについては手を出さずにおりました。
そんなみなさんに朗報ですね!
JASRACデータベースの使い方(はてなブログで使うとき偏)
折角、JASRAC管理楽曲が使えるようになった!でも、使えるかどうか判断がつかない…
なんて方がいらっしゃるのではないでしょうか。
はい、グッドタイミング。私は、アレンジの仕事をするという性質上、JASRACのデータベースを良く使います。と言いますのも、編曲の許諾を得るときには、著作権管理者に許諾をもらわなければならないのですが、そのデータを参照することができるからです。
JASRACの作品データベースのリンクはこちらです。
このリンク先の注意事項をよく読んで、「了承」ボタンを押下すると、データベースの画面が開かれます。
検索方法
入力欄が多くあるのですが、楽曲検索でよく使うと思われるのは「タイトル」「権利者名」「アーティスト名(私は使ったことないけど…)」でしょうか。
入力欄の左に検索条件を選択するドロップダウンリストがあるので、選択しましょう。
書いてある通りなのですが、一応補足しますと…
- 前方一致…先頭にキーワードが配置されているものを呼び出す
- 中間一致…中間にキーワードが含まれるものを呼び出す…なのですが、このデータベースでは挙動がいまいち不明です(苦笑)。よっぽどでなければ試さないほうがいいかも。
- 後方一致…最後にキーワードが配置されているものを呼び出す
な感じです。「前方一致」一択でもいいように思います。
権利者名は「著作者」(作曲家、作詞家)と「出版社」に分かれていますので、ご注意を!
基本的には「タイトル」のみで十分だと思うのですが、同名の曲が多い場合などは、「著作者」欄にも情報を入力すると、絞り込みが出来て便利です。
さて、では実際に試してみましょう。
海の詩より「海はなかった」を検索してみましょう。
作品タイトルに「海はなかった」と入力し、前方一致の条件で、「検索」ボタンを押下します。
2019/7/3現在で2件ヒットしますが、どちらも同じ曲を指す結果が表示されます。タイトルを複数設定していたりするとこのような現象が起きます。
さて、クリックしていただくと、データが表示されます。
次はデータの見方です。
データの見方
はてなブログで歌詞を使えるか否かをどう判断するか?と言いますと、配信の欄を見て…
- 一番上に「J」マークがついていること
- どこにも「♯」マークがついていないこと
この2点をチェックします。
「♯」マークは、JASRACが管理していないことを表します。
例えば、私作曲、私の友人作詞の「君と僕をつなぐ歌」の場合であれば、私の名前の脇には「♯」マークがついていない部分がありますが、作詞者の脇にはすべて「♯」マークがついています。
この意味は、私はJASRACに著作権の一部(出版と配信以外)を信託をしているので、付いているものとついていないものがありますが、友人は信託を一切していないので、すべてに「♯」マークがついています。
ちなみに、私は「配信」を自己管理にしているため、第三者が配信したいときにはJASRACではなく、私にお問い合わせをいただくことが必要になります。
それに対して、「海はなかった」には「♯」マークが見当たりません。ということは、JASRACが音楽利用に関するすべての著作権管理を行っていることを意味します。
配信のタブは「インタラクティブ配信」を指す
これは、ブログに歌詞を載せたり、youtubeや携帯端末への配信をする場合の権利を指しております。
蛇足というか補足というか
その他の情報の見方です。
権利者の信託状況という欄を見ると、権利者がどの程度JASRACに管理をお願いしているのかわかります。
- その人からの全ての音楽利用の権利をJASRACが管理している場合は「全信託」
- その人からの一部を音楽利用の権利をJASRACが管理している場合は「部分信託」
- JASRACではその人の音楽利用の権利の管理を委託していない場合は「無信託」
となります。
基本的にすべての権利者が全信託していれば、すべてJASRACに問い合わせれば問題ないでしょう。
ただ、時々、作詞者が「無信託」作曲者が「全信託」出版社が「全信託」なんてなっている場合があります。上でご紹介した「海はなかった」がそうです
「あれ、この場合作詞に関する権利は管理していないの?」と思われるかもしれませんが、「♯」マークがついていない場合はJASRACが管理していることになります。
一体、どういうことなのか?と申しますと、例えば、JASRACに無信託の「作詞者」が権利の管理を「出版社」にお願いしている場合などは、このような表記になることがあります。
データベースに出版社の情報も併記されているのがお分かりでしょうか?作詞者は出版社と契約をしていることになります。出版社はさらにJASRACと契約しているので、作詞者も間接的にJASRAC管理してもらっているということになります。
ご注意!JASRACからは、編曲の許諾をいただけません
JASRACは音楽利用の権利を管理していると申し上げましたが、すべての権利を管理しているわけではないのです。
JASRACは編曲する権利の管理をしておりません。
そのため、編曲の許諾は権利を持っている個人または法人(著作者、権利継承者、出版社など、メジャーな楽曲は出版社がもっていることが多いです)から許諾を得ないといけません。
JASRACは許諾は出せませんが、出版社の情報などは教えてくれますし、権利者と連絡をとってくれることもあります。
J-WIDを見て、JASRACが全部の権利を管理してるぞ!やった!編曲できるは=NGですので、くれぐれもご注意くださいませ。
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*1:リンク先をご参照ください