はい、また現実が戻ってまいりました。頑張ろう日常。
さて、本日は珍しい木管十重奏のアレンジをご紹介しようかと思います。
フォーレ レクイエムより「ピエ・イエズ」木管十重奏
演奏音源
木管十重奏の音源です。
とても静謐な音楽です…
2012/3/11に開催されたアンサンブル・アイリス第9回演奏会のアンコール用にアレンジしたものです。
原曲が本当に美しく、清廉な曲なので、その点をかなり気にして作りました。
元々声部が少ないというのもあるのですが、ここぞ以外ではソロをあまり使わずに重ねて音色感をまろやかになるように考えて作りました。特に音の立っちゃうオーボエとかね。
なお、短いし、素早く細かいパッセージのない曲で、聞いた感じ簡単そうに聞こえるかと思いますが、演奏の難易度は案外低くないと思います。
気を遣うポイントがとても多いので、発音、音の強さ、音色のブレンド、アンサンブルetc...
美しく歌う練習にもなるかもしれません。
さて、今回はこの音源をご紹介するのが主目的だったのですが、でも、本当にいい曲なので、原曲も聞いていただきたいです。
原曲のオーケストラとソプラノ、バリトンと合唱の音源も見つけましたので、貼り付けてみます。
Pie Jesuは4曲目で17'10"頃から始まりますが…大変によい曲ですので、お時間のある方は全部聞いてみるのをお勧めいたします。大学オーケストラ部時代のトレーナーの先生はお葬式でこの曲を流してほしいとおっしゃっておりました…
私は5曲目の"Agnus Dei"「神の子羊」がお勧めです。20'30"頃から始まります。なお、「神の子羊」とはイエス・キリストを指す言葉でもあるようです。
羊って神聖なものの象徴みたいなんですよね。生贄にも使われるようですしね。異文化の考え方というか捉え方って興味深いものがありますね。
パストラルとか。
慈悲深いイエス
ピエ・イエズ "Pie Jesu"の意味です。
原曲についてこぼれ話
発表した当時、レクイエムとしてはかなーり異端な曲だったようです。ちょっとだけご紹介。
「怒りの日」を欠く 異端児
当時のレクイエムでは必須とされた「怒りの日*1」を欠いていたり、曲調が穏やかで平和すぎることなどからとっても斬新な作品だったようです。
この曲を聞いていると、「死は優しい」という感覚すらしますね。
最終曲のIn paradisum。「楽園へ」を意味する曲ですが、これ、通常のレクイエムには含まれない曲なんだそうです。
でも、この曲を最後に置くのであれば、怒りの日がない(ニュアンス的に少しだけ入っているらしいですが)のもわかる気がしますね。「楽園へ行く」のであれば、審判は要らないですもの。
管楽器の出番が少なーい!
この曲、レクイエムとして異端であるだけでなく、楽器の編成もかなり特殊です。
この曲は3版あるのは比較的有名な楽曲ですが、一番編成の拡張された第3版で合っても、楽器の仕様をかなり制限して作られております。
何と言っても、オーボエは出番が一切ありません。(編成リストに名前がありません…)
大学オーケストラのオーボエの先生がこんなことを言っておりました…「オーボエは俗な楽器だから、はずされちゃったんだよ」。
あぁ、でもちょっとわかるかも。クラリネットとかフルートの比較的高次倍音弱い楽器と比べると、音色がとっても立っちゃうんですよね…神聖で静謐な音楽を奏でるより、俗な感情の起伏を謳ったほうがあってるのかも。(いや、できないことはないと思いますよ)
変わっているのはこればかりではなく、通常はバイオリンが1,2番に分かれるところ、この曲ではバイオリンは基本的に1パート(しかも、出番のない曲まであるという)で、ヴィオラとチェロが分かれます。
残りの管楽器についても、チューバとオーボエがないことを除けば、通常の2管編成ではありますが、とはいえ、出番が7楽章中1つしかないなんて楽器がたくさん…
本当にユニークな楽曲ですね。
おまけ動画
Pie Jesuをボーイソプラノが歌っている動画もあります。
これ、とてもお勧めなんです…
ボーイソプラノの声って本当に天使の声のようです…
いや、きっと女の子の声でも思うはず。声変わり前の子供の声って不完全さの持つ美というか、独特ですよね。
原曲の楽譜
原曲の楽譜が売っているようです~。スコア見ながら楽曲聞くのも大変に乙ですよ~。
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*1:私も、実はよくしらないのですが、生前の行いの審判やそれをする日の事を指すようです