本日は、大昔に作った木管五重奏曲の動画を貼り付けてみようと思います。
木管五重奏曲第一番「ホ短調」
音源
まずは動画をば。
全四楽章ございます。
第一楽章 ホ短調 9/8拍子 ソナタ形式
第二楽章 二長調 2/4拍子 複合三部形式
第三楽章 ホ短調、3/8拍子 複合三部形式 スケルツォ
第四楽章 ホ長調 6/8拍子 ソナタ形式
この音源なんですが、なんと「プロ」(しかも、現役在京オケ在籍者含むそうそうたるメンバー)にお願いした貴重な録音なのでございます。
編集後のデータしか残ってないんだけども…元データを取っておくべきでした…大きな反省点。
反省点もうひとつ。当時は本当にどうしようもない若造で、大変失礼なお願いの仕方をしたような記憶が…うっひゃ~…
後ろ向きはとりあえずおいておいて...
演奏がとにかく素晴らしいです!
この曲、最初はアマチュア楽団で音出ししてもらおうと思ったのですが、第一楽章が難しすぎて、原型がわからない程度にしかなりませんでした。もちろんそんな状態では正当な評価などしようもないし、得られるわけもないしで「変な曲」くらいに思われていたと思います。
そんな闇に葬り去られそうであったこの曲ですが、この音源が出来てからは名誉挽回できたと思います。「えっ、こんな曲だったの!?」という反応と、割とよい方面のコメントをいただきました。
とりあえず、世に存在できてよかったですぅ...
作曲の経緯「こねくりまわしたい時期に作りました…」
これは確か学生オーケストラ生活にどっぷりつかっていた頃…大学三年か四年の時に作ったものだったと思います。大学生になって、木管アンサンブルを演奏する機会に恵まれ、それまで知らなかった木管ではメジャーなレパートリーを知るようになりました。その時、タファネルの木管五重奏にはまって、演奏会で取り上げたのですが、それがこの曲誕生のきっかけだったと思います。「私もこんな曲を書いてみたい!」と書きました。
この時期、オーケストラのメジャーな曲の情報を脳にしこたま入れていた時期(とはいえ、自分の好みの曲に偏って仕入れていたと思います)でもありまして、前述タファネルだけでなく、いろんな曲がこの曲の誕生に影響を及ぼしております。
第一楽章は、チャイコフスキーの交響曲第四番にドハマりした頃だということがまるわかり。拍子やら、ややこしいヘミオラのリズムやらは完全なるチャイコフスキーの模倣。
第二楽章は、タファネルの木管五重奏の第二楽章の影響。曲調も似てますが、後半のオーケストレーション(二重奏で書かれているところ)まで、似ている。
第三楽章は、何かに影響受けたんだっけ???忘れちゃった(爆) なんとなく、交響曲を作ってみたいなぁ。それには、「スケルツォと言うものを書けるようにならなくては!それに、スケルツォって気分が上がる!」とスケルツォをたくさん書きたいと思っていた時期だった覚えが。
第四楽章は、前半気合い入れすぎて、疲れたのか、癒しを求めたのか、冷静になったのか…古典的な曲になりました。この曲の中で、一番素直なつくり。
この曲楽章が進むにつれて、「難解→平易」と変わり「ロマン派っぽい→古典っぽい」と時代を逆行するような順番になっております。
やっぱ、第一楽章は気合を入れて作るらしく、また、前にちょっと触れたこねくり回す時期だったこともありこんな代物になってしまいました。
第一楽章と第四楽章は両方ともソナタ形式なんですけれども。ひねくれ度が全然違う。第一楽章はこねくり回す時期を象徴しています。
こねくり回してる時期っぽい特徴1「定石からはずれて遠隔調を使いたがる」
第一楽章の調配置こんなんです。
提示部 第一主題 ホ短調(#1つ)
提示部 第二主題 嬰へ長調(#6つ) 普通なら平行調のト長調(#1つ)
再現部 第一主題 嬰ハ短調(#4つ) 普通なら主調のホ短調
再現部 第二主題 ホ長調 (#4つ) これはまぁ普通 同種調
この第二主題の調性ね。(別に悪いわけではない)
こねくり回してる時期っぽい特徴2「リズムが複雑」
第一楽章の展開部にはこんなリズムの組み合わせの箇所があります。
赤いところはずれているところで、青いところから一緒になる。青いところは一緒になるとはいえ、9/8っぽくない。ヘミオラの箇所。
めっちゃ、チャイコフスキー…ですね。
こねくり回してる時期っぽい特徴3「小節の単位が奇数」
第一楽章の主題は5小節単位(というか、もっとこねくりまわしていて9/8+9/8+6/8+6/8+6/8+9/8で五小節)だったり、第二楽章は7小節単位だったり、第三楽章のトリオは字余り的な9小節単位だったり…とにかく「変わったことをやりたい気持ちが出まくり。」
こねくり回している時期の実態はこねくり回しているというより模倣している時期?
とりあえず「変わったことは個性」とばかりにいろいろ試していますが、でもそれはオリジナルではなくて模倣していただけなんですね。
一番最初のまずは堅実にの時期を過ぎ、ちょっと破ってみたい時期に入ったとはいえ、その実態は真似。「あー、これはこの人の語法」というのがちらほらちらほら。遠隔転調も格好いい転調シーンに出会って、「できるようになりたい!」と真似してたんですね。憧れの人にはお近づきになりたいものではないでしょうか!?
でも、真似だから独自性がないのか?と問われると、そうでもないと思います。当然模倣の最初の段階はただの真似になると思いますが、真似の対象が増えてきて、引き出しが増えてくると組合せ技を使えるようになります。
創作というと、独自性が大事!なんだとは思うのですが、模倣の結果、語法が増え、その先の選択が独自性につながるんだとも思います。(もちろんそうでないものもあると思います。自分でルールを作っちゃうみたいな)
なので、模倣の時期、こねくり回す時期は必要!
また、その教材として過去の大作はお勧めです。
是非、好きな曲を真似してくださいませ。
第二番は???
ということで、模倣はみられますが、個人的に気に入っている曲でもあります。
さて、第一番と名付けてしまった…ということは、少なくとも第二番は必要だいうことになるような気がいたします。いずれは作りたいものです。今度はもっとオリジナリティの強いもので…
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