POPSにも果敢にチャレンジ!クラシック作編曲家 田丸和弥の音楽日記

鴨川在住の作編曲家が、作編曲家、演奏家、音楽愛好家さんへの便利情報を提供します。時々鴨川ネタもご紹介

【スポンサーリンク】

昔やったことのある面白い管楽合奏曲

【スポンサーリンク】

明日、明後日は遅めの夏休み…という感じで、ブログをお休みしますー!

 

とまぁ、それは置いておいて、本日は管楽器主体の合奏曲についてご紹介してみたいと思います。

吹奏楽やオーケストラと言った大合奏体に所属する奏者も、も小さなアンサンブルを経験することで、飛躍的にアンサンブル能力が向上することが期待されます。

アンサンブル曲を積極的にやるべきです。

ということで、実際にやってみて面白いな…ためになるな…と思った楽曲たちをご紹介してみようと思います。

アンサンブルにおいて特に大切になる、駆け引きと言いますか、押したり引いたりと言いますか…出るとこはだして、引っ込むところは引っ込む…というのを瞬時に的確に、バランスを考えてやらないと、曲の魅力が半減…どころではない減少をするという意味において、とても勉強になるのではないかなと思います。(もちろん、そういう意味以外でも、そもそも芸術的価値の高い楽曲で、触れるのは良いことだと思います)

 

 

昔やったことのある面白い管楽合奏曲

ドヴォルザークの管楽セレナーデとR.シュトラウスの13管楽器のためのセレナードです。

両方入ったCD!

シュトラウス&ドヴォルザーク:管楽セレナード

シュトラウス&ドヴォルザーク:管楽セレナード

  • アーティスト: オーストリア放送交響楽団木管アンサンブルトゥルコヴィッチ(ミラン),R.シュトラウス,ドヴォルザーク,エーダー,トゥルコヴィッチ(ミラン),オーストリア放送交響楽団木管アンサンブル
  • 出版社/メーカー: カメラータ・トウキョウ
  • 発売日: 2011/05/25
  • メディア: CD
  • この商品を含むブログを見る
 

 

 

セレナード ニ短調(通称:管楽セレナード)/ドヴォルザーク

ドヴォルザークはセレナードを2曲書いております。1曲は弦楽オーケストラのためのセレナード、もう一つがこの管楽セレナードです。

弦楽の方が有名だと思われますが、この管楽のセレナードもスラブ民族の血を感じさせるエキゾチックで面白い作品となっております。

 

 

動画

www.youtube.com

編成

  • 2オーボエ
  • 2クラリネット(Bb A持ち替え)
  • 3ホルン
  • 2ファゴット
  • 1コントラファゴット(オプション)
  • チェロ
  • コントラバス

 

エキゾチックで面白い曲調です。演奏会で披露する場合はあれですが、そうでない場合楽章によっては、チェロを省いてもある程度形にはなるのではないかと思います。

 

可能であればチェロ奏者をご招待して演奏すると、吹奏楽のアンサンブルではあぶれがちなコントラバスの貴重な出番(しかも、かなーり美味しく難しくやりごたえのある…)になると思います。

 

オーボエの最高音は上第4間のFとかなり高いです。一番鬼だなと思ったのは、第二楽章のトリオに入る前のCの伸ばしからのFで。Fは極小の音が求められます。

13管楽器のためのセレナード/R.シュトラウス

今回はこちらの楽曲をメインでご紹介してみようと思います。R.シュトラウスの最初期の作品です。

動画

 

www.youtube.com

 

<

www.youtube.com

 

www.youtube.com

私の好みよりはテンポがちょっと遅いのですが、最終和音の美しさがピカ一かなと思います。

フルート1stとクラリネット1stのEb音がとても美しいと思います。

 

クラリネットのスタッカートも丸みがあってポンポンしていて、好きな音色です!みずみずしい果実のような音。

 

クラリネット同士はオクターブよりも3度ハモりのほうが美しく無難だなと思います。(オクターブはとても強烈な響きになって、それはそれで面白いですけれどもね)

編成

  • 2フルート
  • 2オーボエ
  • 2クラリネット in Bb
  • 2ファゴット
  • 1コントラファゴット(チューバでも可との指示有)
  • 4ホルン
  • 1コントラバス(オプション。スコアの最後にのみ記載あり)

 

第二主題後半に表れる、3連符による、高音木管(フルート、オーボエ、クラリネット)による高音の絡みなんか、楽器間でバランス感覚を養うのにとてもふさわしいと思います。(いずれかの楽器が飛び出るとブチ壊れる)

f:id:ilyich888:20190823213206p:plain



赤枠と青枠がそれぞれチームです、旋律は最初はフルートとオーボエで交代します。どちらも音域をそこそこまたぐので、弱い音域と強い音域を行ったり来たりしています。ただ、旋律の頭の音が高いため、普通に吹いたらフルートの方が目立つでしょう。でも、ここはフルートとオーボエでバランスをとらなければなりません。

クラリネットは、フルートの一番下の和音、オーボエの一番下の和音を担当しますので、フルートおよびオーボエとのバランス調整はもちろんですが、クラリネット同士のバランス調整も必要です。

 

後半では、フルートとクラリネット、フルートとオーボエ、フルートとオーボエとクラリネットが和音を担当しますので、ここのバランス調整が必要です。

 

 

それ以外にも、第二主題全般的にバランス感覚を養うのにふさわしい楽曲です。

たとえば、この部分。

 

f:id:ilyich888:20190823214008p:plain

旋律が1stオーボエと1stホルン、対旋律が1stフルートと1stクラリネット(クラリネットは途中からハモっていたりしますが)です。ホルンの音がこの楽器群では強いとはいえ、音域的にはオーボエが主と思われます。

主旋律に対して、対旋律がおよそ一オクターブ上に設定されていると考えられます。

上がフルート下がクラリネット。

 

これ、ちなみに、対旋律がもし1オクターブ下に配置されていたら完全にアウトのめっちゃ意味不明な状態になります。

と言いますのも、このオーボエとクラリネットの譜面を見ていただければわかると思うのですが、旋律と対旋律が完全に入り乱れているのがお分かりでしょうか?

こういう書法で、音色の近い楽器に演奏させると、とてもごちゃごちゃと聴こえます。ためしに、オーボエとクラリネットだけで演奏してみるとよくわかると思います。

音色の全く異なる楽器の場合は、効果的になることもあります。

 

この楽譜の場合は、フルートが上に、ホルンが下にはみ出ていることでセーフという形です。とはいえ…本来であれば一番聴こえたいオーボエは不利な状況にあります。

単純な音量で比べればオーボエはクラリネットには勝てません。オーボエが聴こえると言うのはその音色の特殊性によってそう聞こえています。もちろん、あまりに弱弱しく演奏されると埋もれますし、奏者の個人差があるのも事実です

 

ここまで、読んでいただければ、バランスを取る難しさがわかっていただけるのではないかと思います。でも、うまーくコントロールすればきちっと聴こえます。

 

 

これとまた違ったバランス感覚が必要となる箇所もあります。

提示部第一主題後半

提示部第一主題後半

提示部第一主題の後半です。この映っている部分で、最初から最後まで旋律をやり続けているのは1stフルートのみです。1stフルートは旋律の完全形なので、しっかり聴こえるように演奏するのは当然なのですが、途中までは1stオーボエも旋律を担当しております。旋律から外れるまでは、1stオーボエが核になると言ってもよいでしょう。

しかし、ながら途中から外れてしまいます。

赤で囲まれたところをご覧ください。なんと、その前でアクセント付の旋律音を演奏したかと思えば、タイで、ハモりに華麗に変身をしています。

で、代わりの旋律はどこへ?と言うと、1stクラリネットが引き継いでいます。青い部分からはクラリネットは再びハモりへ移り、2ndオーボエが旋律を一瞬引き受け(ていると言えるのか?これは…)、その後は1stホルンへ受け渡します。(しかし、1stホルンは完全にはなぞっていません)

 

ここの部分では、一連の旋律を楽器交代があったとしても、凸凹せずに演奏するバランス感覚が求められます。

 

ということで、バランス感覚を養うのにとても良い曲と言えるでしょう。バランス感覚を養うのに良い曲…というよりも、リヒャルトシュトラウスは管弦楽法の大家ではありますが、これが初期の作品だからなのか、書法的に若干ごちゃごちゃしている曲とも言えるでしょう。

なにも考えずとも聞こえてきてほしいラインが綺麗に聞こえるような作りとはなっておりません。

裏を返せば、この感覚を養うにふさわしい楽曲と言えるでしょう。

 

若干ごちゃごちゃしている…とは思いますが、楽曲の理解とバランス感覚で完全に克服できるレベルです。

その点、やはりリヒャルトシュトラウス。さすがです。

 

 

お勧めする理由:教育的配慮がなされていない

はい、驚かれるかたもいるかもしれませんが、この通りなんです。教育的配慮がされていないからこそ、得られるものというのは大きいのではないでしょうか。

たとえば、こんな点

  • 意思をもって、出し引きしないと楽曲が破綻する
  • きつく大音量になりがちな音域のpや、弱い音域のf
  • 役割が固定されていない

1つ目2つ目。これは、楽曲の欠点ではないのか?と思われるかもしれませんが、そうとは限りません。奏者がコントロールすることで、制御できるのであればそれは書法が悪いのではなく、そういう点を考えて書かれているのです。

 

指揮者なしでの完全なアンサンブルのできる限界人数は9人!?

見だしの通り、そう聞いたことがあります。

実際はどうなのでしょうか?

確かに、合わせる人数が多くなればなるほど、難しくなります。速度変化の多く、各声部にその役割がまたがる楽曲の場合はもっと少なくても難しいでしょう。

単調な曲であれば、もっと多くても行けるかもしれません。

 

この曲たちは、どうでしょうか?単調な曲とは言えませんが、アンサンブルの醍醐味はかんじられる難しさがあると思います。

完璧な制御…は指揮者がいないと難しいのかもしれません。しかし、動画を見てもわかりますように、10人以上でも、十分音楽的な表現ができる可能性はあります。

10人以上のアンサンブルをやってみるのも面白いかもしれませんよ!

 

ちなみに、指揮者というのは、最初から存在したわけではありません。また大合奏においても必須な存在でもないということを明記しておきます。

 

演奏中も奏者同士ちゃんとコミュニケーションをとっていれば、だんだん精度の高い、よい音楽が作れるようになってきますよー。

 

脱線:木管アンサンブル好きのホルン奏者と好きでないホルン奏者がいるらしい

爆音大好きな人はあまり好きではないみたいです。どうしても、木管楽器とのバランス調整が必要になるので、吠えて良い場面はあまりないかも(というか、そんなめったに吠えるなや…)。

逆に、その状況が嫌でない奏者で、むしろ木管楽器とのアンサンブルが好きという方もいらっしゃいます。

おそらく与えられる役割に快感を覚えているのではないかと思います。

 

関連記事

木管五重奏とピアノの楽曲のレパートリーをご紹介しています。

www.petit-orchestra.jp

 

お勧めの金管八重奏曲のご紹介記事です。

www.petit-orchestra.jp