一般的になじみが薄い(かもしれない)英国式金管バンド。「金管楽器ばっかりの合奏体はうるさいんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、私はその魅力はpの表現だと思っております。
英国式金管バンドの勧め
英国式金管バンドとは?
主にサクソルン族と呼ばれる金管楽器、コルネットとトロンボーン、打楽器による金管楽器主体の合奏形態を指します。
金管バンドとよばれるものはいろいろありまして、日本の小学校バンドに見られるものもあります。
英国式金管バンドについては、基本的な編成が決まっておりまして、その役割もある程度決まっています。
甘美なpp 英国式金管バンドの魅力
金管楽器主体のバンドですから、強力なfはお手の物なのはもちろんなのですが、金管バンドの一番の魅力はppの表現ではないかと思います。
金管楽器単体のpというのは、弦楽器やクラリネットなどと比べるとどうしても限界があります…
しかし、金管合奏のpの表現というのは、別もので、音量によるものというよりも音色による完璧なpの表現がなされます。それはリード楽器の発音できはなしえないようなとてつもなく、柔らかく、甘美で、メロウなものです。
ウォルターピストン著の管弦楽法にも金管セクションによるpの表現の可能性については明記されています。
カンタベリーコラールは吹奏楽編成より金管バンド編成が好きです。
金管楽器のみの編成でこれだけできるので、我が吹奏楽団でも是非pの表現を追求したいものであります。
おそらく、極上のpを演奏されている金管バンドのみなさん(に限らず、全編成のみなさん)はpにプライドを持って、(特に)練習ではぎりぎりのラインを攻め、精度や柔らかさを追求しているとことと思います。
かくいう、私も、アマチュアオーケストラ団員時代は、場面に応じて、溶け込むオーボエを追求しておりました。シベリウスの第五番を演奏する機会がありまして、二楽章のLow-CとLow-Hの交互とか、すっげー、神経使いましたが、本番外さずに、pの表現を実現したのは人生の誇り(かもしれない…)。
その点、弦吹奏楽団ではpがあまり怖くないのです。小さく吹く必要性がないので…(周りがでかいんすよ!)
ということで、pを追求せよ。と団員には言いたいと思います。(多分、既に言ってるけどね)。
そろそろマジで、追求しようかね。合奏が楽しみ。
編成
直管楽器*1はトロンボーンのみで、残りの楽器は円錐形の部分を多く含むコルネットのグループとサクソルン族(フリューゲルホルン、テナーホーン(アルトホルンともよばれます)、バリトンホーン、ユーフォニアム、チューバ)による合奏体です。
一般に円錐部分の多い楽器の方が音が柔らかく溶け込みやすい印象があります。
ちなみに、Bbコルネットとフリューゲルホルンの管長は同じですが、フリューゲルホルンの方が円錐部分が多くより柔らかい音がします。
- Eb Cornet 1名
- Solo Cornet 4名
- Repiano Cornet 1名
- 1st Cornet 2名
- 2nd Cornet 2名
- Flugelhorn 1名
- Solo Tenor Horn 1名
- 1st Tenor Horn 1名
- 2nd Tenor Horn 1名
- 1st Baritone Horn 1名
- 2nd Baritone Horn 1名
- Solo Euphonium 1名
- 2nd Euphonium 1名
- 1st Trombone 1名
- 2nd Trombone 1名
- Bass Trombone 1名
- Eb Bass 2名
- Bb Bass 2名
- 打楽器 3名(標準的なのは、ティンパニ、ドラムセット、鍵盤だそうです)
が、標準的な編成のようです。これを基本に、多少アレンジが加えられています。
例えば、私が拝聴、拝見したバンドでは、バリトンホーンとユーフォニアムが倍管になっていました。また、打楽器はこれよりもっと多くの人数をあてがって、ドラムセットを使わないような楽曲もあります。
脱線記事、トランペットとフリューゲルホルンのバルブシステムまでの距離
Bbトランペット、Bbコルネットおよびフリューゲルホルンの管長は同一の金管楽器です。しかし、その音色はかなーり異なります。現代のトランペットとコルネットの差はさほどではありませんが、トランペットとフリューゲルホルンの音色の差ははっきりと聞き取れるレベルです。
この違いがどこから生まれるのか?と言われると、はっきりとはわかっていないようなのですが、管の形状の差ではないかと考えられています。
直管楽器のトランペットは円筒部分が大半を占め、ベルに近づいてやっと円錐形になります。
これに対して、サクソルン族のフリューゲルホルンはベルよりだいぶ手前から円錐部分が始まり。緩やかな曲線を描くようなイメージになります。
イメージをご覧ください。
フリューゲルホルンの方が管のふくらみ始めが早いのがお分かりでしょうか?なんとなく音色に似た優しいフォルムをしていますよね(本当か?)。
さて、で、この管の形状がこの両者を明確に分けている部分があります。というのが歌口からバルブシステム(ピストンバルブ)までの距離です。
トランペットは、3番バルブに到達するまでに、ぐるーっと半周してつながっているのがわかると思います。
それに対して、フリューゲルホルンはマウスパイプから直に1番バルブにつながっています。
これは、管の長さを変更させるのは円筒部分がやりやすかったからなんだろうと(いう推察です)と言いますのも、円錐部分にバルブシステムを付けたとしたら、バルブ毎に管の直径を変えないといけなくなってしまうからです。
いやぁ、楽器というのは、大変合理的に作られてますね!
というオチ無し…
失礼しました…
ソロコルネット、フリューゲル、ソロホルン、ユーフォニアムにご注目
英国式ブラスバンドの楽器たち。どの楽器がどの役割を担っているのか?わかりにくいと思います。
実は私もうまく説明できません(爆)
ここら辺をご参照いただけると少し想像つくかも?
そんな中で、おぼろげに覚えているのが、「見出しになっている4つの楽器、4奏者の絡みがキーと言える」という事です。目立つ絡みをすることが「多い」のがこの4つの楽器なんだそうです。この楽器での4重奏のような形を取ることが多いのだそう。ということで、お聴きになるときは注目してみてください。
それ以外に、思ったこと。
- Eb Cornetは高音拡張の役目多し
- Repiano Cornetは2nd 3rdとの絡みも多いけれども、Eb Cornetとセットで動くことも多い印象
- 個人的にはFlugelhornの音色要素はCornetと重ねないほうが生かされる印象
- Tenorhornはフレンチホルンより音色がだいぶ柔らかく、音量も少し控えめな印象(楽器と奏者で異なる可能性は大いにあり)
- Baritonehornは、Euphoniumほど音色が立たないので、補佐に向く(吹奏楽でも却ってBaritonehornを使ったほうがよい場面もあるのでは?なんて思います)
- Euphoniumは超目立つし、超重要ポジション、Principal Solo Cornetと共に技術的にも難易度が高いことが多い。
- Tromboneは唯一の直管楽器で、貴重な音色要素である
- 個人的にEb Tubaの使い方が難しい。どうしたらよいのでしょう…
私のオリジナル曲
いまだ勉強中ではございますが、全く知識がない状態から、出版社のみなさん、知り合いの金管バンド団員、レコーディング時の指揮者さんなどから、ご指摘やアドバイスをいただき、苦しみながら生み出した曲を2曲ほどご紹介したいと思います…
ちなみに、主に「コルネット吹かせ続け過ぎ問題*2」を抱えておりまして、今後も改善が必要です…
冒険の夢
記念すべき、初オリジナル作品(これまでに、アレンジは何件かしておりました)。
海神のいぶき
2作目、英国式金管バンド編成とは少し変更がありまして、Repiano Cornetが無いなどの違いがあります。
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