今日は時々あるアイツ、どっちを選べと言うの?選べなーい…
こういう時どうしたらわかってもらえるのか知らん…?
みたいな話です。
吹奏楽のdivisiあれこれ
divisiとは同一のパートを複数人で演奏する場合に、分かれて演奏することです。
例えばこんな感じ。
上記を見ていただければお分かりかと思われますが、3拍4拍目に、音符が同時に2つかかれていますね。これがdivisiです。弦楽器の場合は重音奏法というものがありまして、音符が2つあっても、一人で両方演奏する場合もあります。ただし、divisiの指示のある場合はもちろんそれに従います。divisiの指示は"divisi"、"div."などとかかれます。打ち消す指示は"unison"、"unis."です。時々指示がない場合もあるかもしれませんが、特殊奏法でもなければ一人で2つ以上の音を出せない楽器の場合はdivisiと考えてよいと思います。
図の1小節目と2小節目の書き方。符尾の方向が違いますね。1小節目は符尾が1方向にまとめられており、2小節目は上下に分かれています。
本来は2小節目の書き方が混乱を防ぎよいと思われますが、スペースの問題や手間の問題で、誤解されないだろうと思われるときは1小節目の書き方の場合もあります。
演奏するとき
演奏するときに仮に一人しかいないのに、パートに音が二つある…どうしよう。と言った場合について個人的見解を書きます。(あくまで個人的な見解なので、指導者の指示に従ってくださいね!) 指導される方で迷われるかたはどうぞご参考にしてください。
どちらを演奏すべきか問題
最高音、最低音を単独で担当している場合は、それを基本的に優先するべきでしょう。輪郭ともいえる部分になりますので、可能な限りあるべきでしょう。ピッコロやチューバにはよくあてはまるのではないかと思われます。
今回は、divisiが比較的多くあると思われるチューバを例にとってみます。
こんな場合はどうするか?
この場合、私だったら、下のCを優先します。
もしも、Bass Tromboneがあるのであれば確実に、ない場合でも下のCを優先するでしょう。というのも上のCは下のCの倍音で補われますが、下のCは補われることがありません。(完全にハモっている場合は、ヘ音第二間のCと第四間のGの差音で聴こえますが、それだけに頼るのは心もとないでしょう)
ただし、真ん中のCを選んでも大きく差し支えるとは言えないとも考えられます。
と言いますのも、かりに下のCを演奏しなくとも、第二間のCによって、最低音がCであることに変わりがないからです。
ただ、以下のような場合は、ほぼ確実に下の音を優先すべきでしょう。
重厚な響きを期待するときに、チューバが完全五度で配置されるというのは時々見られます。この場合は、他の音量が十分である楽器で下のCが演奏される場合を除き、ほとんどのケースにおいて、下のCを演奏するべきでしょう。
上記のケースの逆パターンです。下のCを演奏しないと最低音がGになってしまいます。和音の機能が変わってしまうのでこれはNGです。
どっちを演奏すればいい 1st?2nd?3rd?
divisiとは厳密に言えば限りませんが、例えばこんなケース。
フルートが3パート、オーボエが2パートあります。フルート下2つとオーボエの音が重なっています。しかし、オーボエが1つしかありません。さて、1st、2ndどちらを演奏すべきか?
ケースバイケースですが、1stと2ndをミックスしてつかい、例えば上のような状態の場合、下の音を担当しているであろう2ndを優先するのもありかもしれません。
フルートは音が低くなるにつれて弱くなります。という点と真ん中の和音が飛び出るより下が少し強い方が響きがしっくりくるかも(本当にケースバイケースですが)なんてことも考えられます。
また、例えばファゴットが2つに分かれていて、ベースのオクターブユニゾンの場合、低い方の2ndを演奏したほうが効果が高いケースが想定されます。
たとえば、1stの音はバスクラリネットやバリトンサックスが重複している場合なんかは、ファゴットは下の音を演奏したほうがいいかもしれません。ファゴットは中音域より低音域、特に最低の音域は強くなります。こういうケースの場合、下の音はチューバやコントラバスで重複されていたりはしますが、木管のみでもオクターブになっていた方がいいケースもあるかもしれません。
オクターブのバランスや音色なんかを考慮して選択してみるのもよいかと思います。
臨時記号は有効???
さて、時々こんな困ったケースがあります。どうすべきでしょうか?
符尾が下になっているほうの4拍目の音は「F」でしょうか「F♯」でしょうか?
この図だけから判断するとしたら、正解は「F」です。といいますのも、分かれた場合、♯は上のパートのFにしか付いていないため、下のパートは有効になりません。
ただし、これが普通だ。。。とは言いつつも、誤植の可能性も大いにありますので、こういうケースではスコアにある他のパートと照らし合わせて確認すべきでしょう。
他のパートからは判断が付かない。。。という場合は前後の文脈から判定できる場合は判定し、それでもどっちのケースもありうるという結論に至った場合は、大原則に従いましょう。
ががが…これはとても不親切な表記です。誤解を与えますよね。
こういう場合は、以下の1小節目のようにするのが普通です。
逆に下のパートの4拍目に「F♯」を演奏させたい場合は「♯」が付いています。
が、これも、同様に誤植でつけ忘れ。。。というケースが考えられますので、違和感を持ったらスコアチェーックをしてくださいね。
交差に注意!
こんな風に符尾の向きが異なる2つのパートが交差するケースがあります。
四拍目で交差が起きているのがお分かりでしょうか?
この場合はどう演奏するか?といいますと、符尾の向きで判断します。
すなわち上のパートは「GFED」と演奏し、下のパートは「CDEF」と演奏します。
書くとき
今度はアレンジや作曲する場合の目線で書いてみます。
まとめるか分けるか
符尾の話です。
1小節目がまとめた表記、2、3小節目が分けた表記です。
1、2小節に関しては書かれている内容は一緒です。
どちらが見やすいか?を組段全体を見てバランスで判断するのがいいと思います。
1小節目の表記の場合はこの上の組段との隙間を狭くできるというメリットがあります。
ただし、全部のケースでまとめられるか?というと、そんなことはありません。
3小節目のように上のパートと下のパートでリズムが異なる場合は分けて書かざるを得ないでしょう。(無理やりタイを使って書くという方法もないとはいえませんが、それは読みやすさの点からNGでしょう)
臨時記号の気遣い
これは、演奏するときの「臨時記号は有効???」で書かれている、「こうすべきだ」すなわち最後の図のように書くことをお勧めします。というか、必須だと思われます。
書き手は、演奏者が判断に困らないようにするべきでしょう。
交差時の気遣い
上の例の図を見ていただき他のですが、交差する場合は音符をわざと少しずらします。
なぜかというと、そうしないと、音符が重なってしまいどちらがどの音符を演奏するべきかわからなくなってしまうからです。
gli altri = the others
時々にでてきます。"gli altri"これは、それ以外の人達という意味です。それ以外の人達ということは、「誰か」と「それ以外の人達」の二パターン以上が存在するということになります。
誰かは例えば"solo"だったり"soli"だったりするでしょう。"one player","two players"という可能性もあります。
比較的珍しい指示ですが、ビックリしないでくださいね~。
時々