POPSにも果敢にチャレンジ!クラシック作編曲家 田丸和弥の音楽日記

鴨川出身の作編曲家が、作編曲家、演奏家、音楽愛好家さんへの便利情報を提供します。時々鴨川ネタもご紹介

【スポンサーリンク】

スタッカートは短く切る!ではないお話

【スポンサーリンク】

fは強く、pは弱く、Allegroは速く、rit.は徐々に遅く、スタッカートは短く。

 

などなど、これら学校音楽の授業でも習いますし、もしかしたらピアノのレッスンや吹奏楽の部活でも聞いた言葉かもしれません。

 

 

スタッカートは短く切る!ではないお話

 

音楽用語の日本語訳をそのまま受け入れるリスク

その日本語訳、本当に適切ですか?

多くの音楽用語はイタリア語であるということを念頭に解釈してみましょう。

もちろん、別の言葉で書かれたものもたくさんあります。例えばラヴェルの譜面を見るとvifという速度標語を見ることができますが、これはフランス語です。

ワーグナーの譜面にはLangsamという速度標語を見ることができますが、これはドイツ語です。

時に、日本語の指示も見ることもできるでしょう。

 

イタリア語であるということは、どういうことか?というと、イタリア語の単語と同様の意味を持つ単語が日本語にない可能性があるということです。

 

仮に、すべての音楽標語で使われているイタリア語に1:1で対応する日本語があったとすれば、その言葉の意味通りに解釈して演奏すれば全く問題はないでしょう。

しかし、そうとは限らないのです。

 

また、もう一点気を付けないといけないこととして、誤訳や意訳の可能性を頭に入れておかないといけない。ということです。

 

仮にsttaccatoに相当する日本語があったとしても、演奏上のわかりやすさや親しみやすさにより、意訳している可能性はありますし、もちろん誤訳の可能性もあります。

 

よく言われるのがチャイコフスキーの第六交響曲「悲愴」ですが、こちらのリンクを読まれると、「ふーむ」と思わされます。

ja.wikipedia.org

 

イタリア語と日本語よりもイタリア語と英語のほうが近い

イタリア語の単語で日本語にないものはどうしたらよいのでしょうか...1つのアイデアとして、別の近い言語を使ってみる。というものがあります。

 

そう、英語です。

 

英語と日本語もまた、遠い言語ではありますが、我々日本人は英語教育がカリキュラムに含まれていますよね?少なくとも、一部のごくまれな人を除けばイタリア語よりは英語のほうが想像がつく。という可能性は大いにあるのではないでしょうか?

 

英語のほうがイタリア語よりも、より多くの情報を手に入れることができます。

 

例えば、日本語にない前置詞といわれるもののであっても、市販されているものや英会話学校のテキストにおいてイラスト付きで説明されているものがあります。

(例えば、くっついているのか、上方にあるのか、中にあるのか、中へ入っていくようなイメージなのかetc)

仮に、言葉のみの説明では意味が分からなくとも、イラストや動画などによってより深く理解することは可能であるといえるでしょう。

 

という意味において、イタリア語を英語に置き換えてみるというのは、価値の高い方法であるといえるでしょう。

もちろん、日本語よりは近い…とは言いつつ、イタリア語と英語でも1:1で呼応しない単語もあるとは思います。

 

では、それを念頭にスタッカートと本来はどのような意味になるのでしょうか?

 

スタッカートはセパレーテッド「分けられた」である

staccatoを英語で引いてみると「separated」になります。

となると、staccatoのついた音符の演奏において大事なことは何かというと、音と音の間を分けて演奏するということになります。

 

短く切るというのは、それを簡単にわかりやすくするために、用いた言葉といえるでしょう。

 

しかし、「短く切って演奏する」と「分けて演奏する」はイコールではありません。

 

例えば、とてもゆっくりしたテンポの長い音符にスタッカートがついていたら、どうすべきなのでしょうか?

「短く切って演奏する」の場合、音価を小さくする方向に向かうでしょう。

しかし、「分けて演奏する」の場合、音と音に隙間があればよいということは、必ずしも「短く切る」必要はありませんよね?

 

これと同様に、例えば、八分音符にスタッカートがついていた場合、テンポがあまりに速すぎる場合は16分音符でも足りず、もしかしたら32分音符くらいで演奏しないと分かれて聞こえないかもしれません。

こちらの場合、「短く切って」と指示されたとしても「分かれている状態で」と同様な演奏になる可能性は高いでしょう。

 

でも、同じ八分音符にスタッカートがついていた場合であっても、ゆったりしたテンポであれば付点16分音符程度の長さできっちり分かれて聞こえるかもしれません。

こちらの場合、「短く切って」と指示された場合は「分かれている状態で」と異なった演奏になる可能性も考えられますよね。

 

なぜその記号がつけられているのか?なぜその言葉が添えられているのか?を考えることが大切

結局、作曲者がその譜面で「どういうことをしてほしかったのか?」意図を汲むことが大切といえるでしょう。

 

そのためには、言葉の意味を「正確に理解しておくことが必要」といえるでしょう。

この記事でも少し触れましたが「フェルマータ」を「通常の音かの2~3倍程度伸ばす」という表現をすることはあります。

これは、たとえばアンサンブルの場合などでは、具体的な長さを示すために、有用な情報であるといえます。

でも、それよりももっと大切なことに「停止する」ということが挙げられます。

  • 音価の2倍から3倍遅くなる
  • 音価の2倍から3倍の時間止まる

では、その音楽に関する解釈や演奏は全く異なったものになるでしょう。

 

音楽の授業でならった音楽用語の日本語訳をそのまま受け入れるのではなく、もう一段踏み込んで理解することは、説得力のある演奏に必要なことといえるでしょう。

 

最後に、このことを楽しく知ることができる書籍をご紹介したいと思います。

 

お勧め書籍

 以前、こちらのきじでもご紹介した書籍です。

www.petit-orchestra.jp

 

こちら、実は、エレクトーンの講師をしている高校の先輩のお勧めされて読んでみたものなのです。

もちろん、1対1で意味が呼応していない...ということは、その意味を真に理解することは難しいのかもしれません。

でも、想像することはできますよね?

 

この本では、様々なたとえ話(accel.は自動車のアクセルと同じこと、やフェルマータはバス停を意味する(バスが止まる=音楽の流れをいったん止めないといけません) etc...)を絡めて、面白く、そして「なるほど!」と思える書き方がなされています。

 

だまされた...と思って手に取ってみてはいかがでしょうか?

イタリア語から学ぶ ひと目で納得! 音楽用語事典

イタリア語から学ぶ ひと目で納得! 音楽用語事典