POPSにも果敢にチャレンジ!クラシック作編曲家 田丸和弥の音楽日記

鴨川在住の作編曲家が、作編曲家、演奏家、音楽愛好家さんへの便利情報を提供します。時々鴨川ネタもご紹介


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さわやかな春を謳う 変わった編成のオリジナル曲

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今日は、タイトルの通り、「ちょっと変わった編成のオリジナル曲」をご紹介してみようと思います。

 

ちょうど、今の季節にいい曲ですよー!

 
 

 

結婚お祝いの曲「春風」

 さわやかな春の陽気に誘われるように外に出てみると、優しくほほをなでる風が吹いていた。幸せを運んでくる風…

 

みたいな曲の予定です(爆)

www.youtube.com

 

これは、練習の時の動画で、ピアノは私が弾いております(^_^;

作曲の経緯

2つ下の後輩の結婚式の余興のために、書きました!後輩の仲良し同期と同じパートの先輩と私と…という、これまたよく遊んだメンバーで演奏するために、作りました。

確かこの後輩ちゃんは、結婚式当日ではじめてこの曲を聞いたんだったと思います。

ネーミングですが、結婚式が春のよい季節だったので、という安直とも言えますが…春の暖かい陽気を運んでくる優しい風のような楽曲になっていると自負しております。

春は花粉大変ですけどね…(爆)

 

ちなみに、別の後輩の結婚式のために作った曲もあります。

www.petit-orchestra.jp

曲のつくり解説

へ長調、三部形式のモデラートなテンポの楽曲です。この仕様からして春の風っぽい気がしています。

フルートが冒頭からいきなり奏でる主題は「風」をイメージしたもので、主部は風景描写のシーン。

フルートの奏でるブリッジを経て、二長調の中間部、ファゴットが導く主題は人の営み、優しい気持ちや暖かな交流を描いたシーンという想定です。(後付けだったりして…)少し緊張する場面を超えての中間部の主題の再現は変ロ長調に転調して、ピアノのソロです。

最初のブリッジの主題を利用したブリッジによって、変ロ長調→変二長調と転調。その後、転調のお友達必殺「減七の和音」をはさんでからの、増三和音をはさんでからの、ドミナントC7ときて、主調ヘ長調へ転調して主題に戻ります。2度目の主部は後半の部分を少し拡張して、盛り上げてマース!

という感じです。

コーダは、グスタフランゲの「花の歌」に習ってのアーメン終止。クラシックのお祝いの曲なので、この終止がふさわしいかなーと思って選びました。

 

そもそも、アーメン終止*が好きだからという理由もあります。

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アーメン(変格)終止

 

*IV→Iの終止、讃美歌の最後、アーメンというところでこの終止が使われるので、アーメン終止と呼ばれます。またの名を変(格)終止とも。

 

アーメン終止って、優しい響きがする気がするのです。

 

編成が変わっている?

さて、この曲ですが、編成が変わっていると申しましたので、どこが?というところを書いてみようかなと思います。

 

ってか、私の作品変な編成の曲が多いな…

 

ずばり、どこが変わっているかというと、管楽器がフルートとファゴットのみで、オーボエやらクラリネットやら、ホルンやらといった間をつなぐ楽器がない点が変わっているかなと思います。

 

で、この変わった編成で作曲するに当たり、ちょっと大変だったなと思ったのが下記の点。

 

音域離れすぎ…問題

さて、フルートとファゴットの実用音域の図をご覧ください。

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フルートとファゴットの音域

 図を見ていただければわかるかと思われますが、オーケストラに定席のある木管楽器で音域のかぶりが一番少ない組み合わせです。ちなみに、ファゴットの上の方の音はもはや異常な音域と言っていいかと思われます。Cより上の音なんて…特別な理由がなければ使わないですよね。

 

フルートとオーボエ、フルートとクラリネット、オーボエとクラリネットであれば、実用音域は2オクターブかそれ以上にかぶるんです。

クラリネットとファゴットでも、2オクターブくらいはかぶります。

オーボエとファゴットも実用音域のかぶさりはフルートファゴットとあまりかわりませんが、オーボエは「下の音域でも大きな音が出る」「ファゴットと同じ発音体を持っている=音色が似ている」という2点からフルートとファゴットよりは一般的かなと思います。

逆に、図にも書いてありますとおり、フルートは下の音域で大きな音を出しづらいということで、音色に違いは一聴してわかると思います。

 

もしも、「お互いの楽器の演奏しやすい音域のみを使う」 とした場合、真ん中の1オクターブくらい、ぽっかり穴が開いてしまうんですね。

これは使いづらい。おそらく、こういった理由からあまり一般的ではないのでしょう。

 

この組み合わせはなしなのか!?

いいえ、そんなことはありません。癖はたしかにありますが、弱点は、うまく使えば個性になります。

実際に、このフルートとファゴットという楽器の組み合わせを使った例というのはたくさんありまして、オクターブユニゾンはおろか、完全なユニゾンを使った例なんてものも探せばいくつも見つかります。たとえば、我が尊敬するチャイコフスキー先生なんかは「くるみ割り人形」の「金平糖の踊り」でも、悲愴交響曲の最終楽章でも使っています。後者なんて、かなーり長い間フルート3本とファゴット2本によるユニゾンが続きます。

 このお互い演奏しやすいとは言い難い音域でのユニゾンというのは、大変魅力的な音色を提供する可能性があり、書き手にとっては興味深いものであったりします。

フルートの大きい音で演奏しづらいけれども、優しく輪郭のぼんやりした音と、ファゴットの音が高くて苦しく、強くなってしまう音の相性というのは、ある種の感情を描写するのに、とてもふさわしいと思っています。ファゴットのむせび泣くような、苦しみを吐露するような、とても感情的な音色を優しく穏やかに包むフルート…みたいな構図。

で、ちゃんとブレンドさせると、本当にそんな音色になるんですよね。

この曲でも、中間部のマイナー調になったところは、(本当は、もう一本フルートを重ねたほうがより効果が高いと思いますが…)まさにこの組み合わせを使っておりまして、そんな感情描写ができているように思います。

そう思いません???

 

ということで、この組み合わせお勧めですよ~。

難点はと言うと、フルート奏者2人とファゴット奏者2人で活動している団体があるのか…ということ。。。

 

いや、この機会に作りましょう。なんちゃって…

 

music-bells.com

 

ちなみに、冬のお祝いの曲と同様この曲も弦楽器で演奏できる譜面を用意しているのですが、弦楽器で演奏したらどうなるのか、非常に興味があります。

 

誰か…