POPSにも果敢にチャレンジ!クラシック作編曲家 かずまるの音楽日記

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楽譜浄書の悩みどころ。 譜めくり考察

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今日は譜めくりについてです!

いやー、ピアノを弾きながらスタイリッシュに譜めくりする人、かっこいいですよね!しびれますよね!
って話ではなくて、今日は楽譜を作る側のお話です。


パート譜の譜めくり考察

長い曲のパート譜作成で頭を悩ませることの1つに、譜めくりがありますよね!見開き一枚に収まればいいのにと恨み言をいいながらぶつくさぶつくさ言いながら作ってます。さて、今日はそんな頭を悩ませる譜めくりについて、ケースごとの解決法を書いてみようと思います。(自分も困ったら参照したいぞ!)

譜めくりを配置すべき場所の候補たち

さて、実際に譜めくりを考えた楽譜を作るに置いて、候補を絞るポイントを書いてみたいと思います。(私も今後このページを参照すると思います(爆))

数小節以上の長休符の後

これがベストですよね。前でも実質問題はないのですが奏者の心理を考えると後がベスト。前だと焦らせてしまうかも!毎回これでいけるのであれば苦労はしない…次へ行きます。

長休符の例
長休符の例
テンポが中庸までであれば、2,3小節でも譜めくりに支障はないのですが、テンポが急速で一小節一つ振りの楽曲の場合は、足りない可能性があります。
もし、前後にもう少し長い長休符があるのであれば、再配置を検討をしてみてもいいかもしれません。

片手で演奏できる箇所を探す

どうしても、めくれるような長休符がない場合、これを検討します。

金管楽器の場合

トランペット、ホルン、ユーフォニアムの場合は、短い間であれば片手で演奏できます。(でも、あまり難しい場所は避けたほうがよいかと思われますが…)場合によってはチューバも可能でしょう。
トロンボーンは…あきらめましょう。(開放音ならばむりくりなんとかなるかも)というかトロンボーンの譜面でこんな状態になるのは、ちょっと問題がある気がいたしますです。
金管は比較的対処が簡単ですね。

木管楽器の場合

はい、こちらは結構難しいです。
といいますのも、両手を使って演奏するのが前提だからであります。(ホルンの右手はそうでないこともありますが)金管楽器は片方の手は主に支える目的で使います。でも、木管楽器は音孔が多すぎて両手を使わないと操作できません。

でも、片手で演奏できる音というのは存在します。
楽器にとっては、いい状態ではないかもしれませんが、一瞬であれば…
片手で楽器の管の前部と後部を押さえられればいいわけなので、左手の親指と人差し指だけで演奏できる音はかろうじて譜めくり候補に入ります。
また、シチュエーションがかなり限定されますが、クラリネットとサックスについては、開放音(ただし、ロングトーンに限る)についても候補に入ります。右手と口で楽器を支えて左手でめくるということが可能です。
オーボエには開放音がありません(というか、C#に近い音はでるのですが、音色があまりよくないので、緊急避難以外では使えないかと)ので、出来ません。
これをまとめるとこの図のようになります。

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譜めくり可能な音の組み合わせ

青い矩形で囲った音の組み合わせを使うことができます。(ただし、フルートはこの音すべての組み合わせで可能です)
ファゴットのC♯音は買え指ですので、慎重に使うようにとのことでした。
クラリネットとサックスの全音符の音は、前に触れた開放音でロングトーンでこの音がある場合のみ候補に上がります。

次に、こんな譜例は譜めくりに使えますという例です。
クラリネットの場合

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クラリネットで譜めくりできるポイント

一件、譜めくり不可能そうに見えますが、これは譜めくり場所の候補に上がります!

ピアノの場合

片手が休んでいる箇所は候補になります。または、ペダルの使用が可能で、片手がすぐに空くポイント。
練習中であれば、ペダルを使用しないほうがいい場所でもこの方法でなんとかしてもらえるかも。
でも、ただでさえ譜めくりが多すぎて、そんな場所ばっかりになる可能性はあるのだろうか…

ピアノのみのパート譜を作ると大分改善されますが、室内楽の場合には他パートが見られないのが弱点(ピアニストは基本的にスコアを見て弾きますよね。ピアノ譜が用意されていないものは多いです)。

ピアノの場合は、素直に譜めくりを用意してもらうことを期待するか、ピアニストに何とかしてもらうしかないように思います。
実際、譜めくり要員を用意できないシチュエーションは多く、自力で本当に一瞬のタイミングで譜めくりをするピアニストさん多いです。上手なピアニストは譜めくりが本当に上手ですよね。
また、ピアノ弾きは自分で不要な(ではないけど、省いても影響の小さい)音を自ら判断して弾くということもやってのけます。
スゴイです。ちょいと脱線、二度レッスンを受講した著名なピアニストの先生は、譜めくりに関係ないところでも弾きづらくしかも、響きが厚ぼったくなる部分を削ってみせてくれました。作り手的な感覚としては「えぇぇぇ!?そんなことしちゃうの?」と思いましたが、スッキリ響くし、弾きやすいし、とてもよくなったのも事実だったんです。作り手視点だと元の譜面みたいに書きたくなる心理はよくわかるのですが…厚く書けばいいというものではないと…いう気づきを得られました。ちなみに、その先生曰く「作曲家なんて、わかってないからこんなに音を書く」のようなことをおっしゃってました。こえぇぇえええ…

無理やり譜めくりを失くす方法

この方法は全くもって推奨されませんが、「検討している時間がない」、「ほんの一時のため」、「視力がとてもよい」などの場合はありかもしれません。
譜面の拡縮を70%くらいにして、一段に詰められるだけ詰めるともともと4ページあったものが2ページに収まることすらあります。しかし、譜面の見やすさは演奏のクオリティにも関わりますし、推奨いたしません。ちなみに、老眼が始まっている皆様の言によりますと、フィナーレのパート譜なんか、100%を切るともう小さいと言われます。「えー?そんなことないっしょ?」と思ってよーく見て、他の譜面と見比べてみると確かに小さいです。
本当に、どうしようもない…場合です。


悩ましいですね。譜めくり。

お困りのみなさんに、正解が少しでも見つけやすくなりますように。