みなさんこんにちは!
今日は日中に更新ですじゃ!
さてさて、今回はオーボエ吹きあるあるです。時々なかなか当たらなくて苦戦する音が出てきて「今回は博打だ!勝つ可能性は5割だ!」と意気勇んで臨んだものの見事に撃沈、演奏後に「チーン、ポクポク」なんて経験はありませんか?
はい、私はあります。そういう箇所に限って外したら格好悪いという、一番大事な場所だったりします。はー、泣ける。今回はその勝率を上げるために模索してみた!という記事です!
オーボエの運指 当たらない音の代え指
この音当たらない怖い…とはサヨウナラ、代え指を探そう
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オーボエの鬼門、上第三線のEb
古典だとほぼ出てこない音ですが、ロマン派以降はバンバン出てきます!最近の吹奏楽曲でも、中級者向け以上の曲にはよく出てきます。
このEbの音、とてもくせ者です。この上のEやFなど、最近の楽器のそこそこ以上のグレードの楽器で第三オクターブキーを使う音のほうがかえって簡単ではずしにくいくらい。かといってこれらEやF
よりは出現頻度が高いという曲者。タンギングをして強めに息を吹き込めるシチュエーションならば、かなり当たるのですが、スラーの中だと泣きをみます。
私が苦戦したのは、朝ドラあすかのテーマ「風笛」です。宮本文昭さんの演奏が素敵でしたね!
- アーティスト: 大島 ミチル featuring 宮本 文昭
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世のオーボエ吹きの憧れの一曲ではないでしょうか!
で、この曲、これが出てくるんですよね…
しかも、第5線のFisから長六度上昇というかなりの跳躍を伴うものです。これが当たらない当たらない…
楽器、リードや腕によるのはもちろんあるのでしょうが、わたしのその外れ率たるや惨憺たるものです。
で、なんとかできないかと試してみた結果がこちら!
左側がよく使う運指(基本的には右手はキーも音孔も操作しませんが、下と真ん中のEbで使うキーを押すことはあります)で、これはAbの運指から人差し指を外したものなんです。で、この運指なのですがでタンギングなしだと下の倍音のAbが鳴ってしまうことが多くとても苦しめたものです。
これに対して、右側の中指と薬指を足す運指を試してみたところ、あらあら、格段に外れにくいではありませんか!
下管の音孔を塞いだことでAbの倍音が出にくくなったのだと推察されます。
上記風笛の件の部分も難なく演奏できました!なんともうれしい。お勧めです。
音色が悪くなりがちな中央のC
オーボエの中央のCもまた、鬼門と言われています。というのも管の鳴っている部分が非常に短いためコントロールしにくく、ペラペラした、俗に言う「開いた音色」と言うものになってしまいやすいです。
この音が混じるフレーズはこの音色の問題をクリアするのが大変なのですが、一番よく使われる音域でもあり、音色の問題を無視することができません。
そんな頻出の問題児、中央Cの対策はこちらです。
この右側のように右手の薬指の音孔を塞ぐとえらく音色が変わります。正規の運指だと上管の上の方から漏れ聞こえてきたようなCの音が、右側の運指を使うと管の中を通り、響いて聞こえるようにもなります。
この運指は大学生の時の先輩と習っていた先生の両方から教えてもらったことで、よっぽど運指が大変なところを除き必ずこの方法をとっています。
また、更に右手の中指を足しても影響ありません。例えば中央Dから降りてくるときなんか、この方法を使うと、右手の運指はそのままで、左手だけ代えればよく、エラーが減るというメリットがあります。
試してみてくださいね!
悩ましいF
オーボエの下と真ん中のFの運指は周辺の音と比べ、代え指が多く、3種類の出し方があります。左から「通常の運指」「第一候補」「第二候補」です。
第一候補は、通常の運指と同じ音孔を操作するものなので、性能はほぼ同等です。
第二候補については、音色と音程感が大分変ります。リードによっては、圧力のかけ方で音程が大きく変わってしまうこともあり、使いづらい印象があります。
この運指は「フォークF」と呼ばれます。これ、実はキーシステムが発達する前の楽器で用いられていた運指なんです。
キーシステムが開発される前の半音を出す手法のイメージを記します。
笛と音孔のイメージ図です。
レ#にご注目ください。このようにミの運指の隣の音孔を空け、隣の隣の音孔を閉じると得られます。
このフォークFはその名残なんですね!ちなみに、ちょっと脱線、単純にしたから音孔を空けていくとファが得られるファ♯が得られるのはなぜか?というとオーボエがD管だからです!
古い運指です。だからといって、この運指が使えないのか?というとそうとは限りません。Ab majorやDb majorなど、D♭とEbとFを連結する場合に使ったりします。
(右手小指のスライドが上手な人には不要かもしれません)
これと同じような理由で、FとEbやFとDなど、右手の薬指で通常の音孔を塞がなければならないときには左手でFの音孔を操作する2番目の運指を使います。
AbとBbのトリル
AbとBbのトリルも通常の運指でやろうとすると、えらく難しいですが、Bbの代え指を使うと比較的簡単です。ただし、各指の分離がうまくできてないと難しいことに変わりはないですが…
Bbの音はAbの運指から左手中指のキーを外すと出ます!
ということでAbとBbの運指は左手中指を押したり、外したりを交互にすると実現できるのです。
この写真の運指を交互に繰り返すことでAbとBbのトリルが演奏できます。(写真では、わかりやすいように、Bbの時に中指を折り曲げていますが、実際に演奏する際にこうする必要はありませんので、ご注意ください)
Ebの代え指
第1、第2オクターブのEbの運指も2通りありますので、覚えておくとよいと思います。
まずは、通常の運指
続いて代え指のEb。
Ebの代え指は例えばDbとEb、Low-CとEbを順番に演奏する際などに使われます。
DbとLow-Cキーは右手小指で操作します。通常のEbキーも右手小指にあるのですが、その場合、右手小指の動きがせわしなく、失敗する確率が上がってしまうので、左手小指にも操作できるようにEbキーが備え付けられています。
代え指がある理由
ここまで読んでいただければわかると思いますが、代え指が存在するには理由があります。
「運指を合理的にする役目」だったり、「発音を容易にする役目」だったり、「音色を改善する役目」だったり…初心者を脱した奏者さんは覚えていって損はありません!
また、「なんだかやりづらいなぁ?」と感じたときは代え指を探してみるのをお勧めします。
なお、「これだ!」と言う正解は実はありません!要は出したい音が出せれば何でもいいのです。現に最高音域の運指なんてほとんどどの楽器もメチャクチャです。自分でオリジナルの運指を探しだしてみるのもアリですよ!
オーボエのキー豆知識
そのた、オーボエのキーをいくつかご紹介してみます。
オクターブキー達
オーボエを裏から見たものです。
オクターブキー達です。実は、モデルによって本数が変わります。
第一オクターブキーはどのタイプの楽器にも付いています。
第二オクターブキーについては、楽器のキーメカニズムによってあったりなかったりします。
セミオートというタイプの楽器の場合は第二オクターブの2種類のキーを自分で使い分けるため、第二オクターブキーが備え付けられています。
フルオートというタイプの楽器の場合は第二オクターブの2種類のキーを自動で切り替えてくれるので、第二オクターブキーはありません。
第三オクターブキーは廉価モデルにはついていないことがあります。
このキーは上第3線のE以上の第三オクターブで使います。第一オクターブキーでも出せないことはないのですが、音が外れにくくなるのと、一部の音の音程が良くなる効果があります。あったほうが便利ではあります。
第一、第三オクターブキーは左手親指で操作し、第二オクターブキーは左手人差し指の脇で操作します。
ちなみに、オクターブキーならぬ、オクターブホール(楽器に開けられた穴)は実は最大で4つあるのはご存知でしょうか?
- 第二オクターブのE~Gisを担当する第一オクターブキーで開く穴
- 第二オクターブのA~Cを担当する第二オクターブキーで開く穴
- 第三オクターブのE以上を担当する第三オクターブキーで開く穴
あれ、四つ目は?
四つ目はハーフホールと言われている、第二オクターブのC♯~D♯までを担当する、左人差し指のキーについた穴です。
あれも、立派なオクターブキーと言えます。
右手小指で操作するキー
木管楽器というのは小指で操作するキーが多いんですよね…
右手小指で操作するキーは3つです。下第一線のドを担当するLow-Cキー、第一第二オクターブのDbを操作するDbキー、第一第二オクターブのEbを操作するEbキーです。
ちなみに、Low-Cを操作するキーは、「これ」、この画像の右端にちょこっとだけ一部が写っている「右手薬指で操作するキー」の2つあります。
その音専用のキーが複数もあるということは、この音を含む運指はややこしいパターンがある…という証明にもなってしまいますね。
左手小指で操作するキー
5つもあります…
最低音域を担当する、Low-Bb,Low-Bの2つのキーと、第一第二オクターブのEbキー,Abキー、先ほども紹介した第一第二オクターブのFキーがついております。
Low-BbとLow-Bのトリル…はちょっと難しいですが、1回限りであれば指を滑らせてレガートで演奏できるようになっています。オーボエの最低音域はとても粗い音がするので、さほど頻繁には使われません。
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