POPSにも果敢にチャレンジ!クラシック作編曲家 田丸和弥の音楽日記

鴨川在住の作編曲家が、作編曲家、演奏家、音楽愛好家さんへの便利情報を提供します。時々鴨川ネタもご紹介


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あー!この音当たらない… となった時の代え指 オーボエの運指

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みなさんこんにちは!

 

今日は日中に更新ですじゃ!

さてさて、今回はオーボエ吹きあるあるです。時々なかなか当たらなくて苦戦する音が出てきて「今回は博打だ!勝つ可能性は5割だ!」と意気勇んで臨んだものの見事に撃沈、演奏後に「チーン、ポクポク」なんて経験はありませんか?

 

はい、私はあります。そういう箇所に限って外したら格好悪いという、一番大事な場所だったりします。はー、泣ける。今回はその勝率を上げるために模索してみた!という記事です!

 

 

この音当たらない怖い…とはサヨウナラ、代え指を探そう

 

オーボエの鬼門、上第三線のEb

 古典だとほぼ出てこない音ですが、ロマン派以降はバンバン出てきます!最近の吹奏楽曲でも、中級者向け以上の曲にはよく出てきます。

 

このEbの音、とてもくせ者です。この上のEやFなど、最近の楽器のそこそこ以上のグレードの楽器で第三オクターブキーを使う音のほうがかえって簡単ではずしにくいくらい。かといってこれらEやF

よりは出現頻度が高いという曲者。タンギングをして強めに息を吹き込めるシチュエーションならば、かなり当たるのですが、スラーの中だと泣きをみます。

 

私が苦戦したのは、朝ドラあすかのテーマ「風笛」です。宮本文昭さんの演奏が素敵でしたね!

 

 

風笛 (NHK「あすか」のテーマ曲)

風笛 (NHK「あすか」のテーマ曲)

  • アーティスト: 大島 ミチル featuring 宮本 文昭
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  • 発売日: 2018/03/07
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世のオーボエ吹きの憧れの一曲ではないでしょうか!

で、この曲、これが出てくるんですよね…

 

しかも、第5線のFisから長六度上昇というかなりの跳躍を伴うものです。これが当たらない当たらない…

楽器、リードや腕によるのはもちろんあるのでしょうが、わたしのその外れ率たるや惨憺たるものです。

 

で、なんとかできないかと試してみた結果がこちら!

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Ebの代え指

 左側がよく使う運指(基本的には右手はキーも音孔も操作しませんが、下と真ん中のEbで使うキーを押すことはあります)で、これはAbの運指から人差し指を外したものなんです。で、この運指なのですがでタンギングなしだと下の倍音のAbが鳴ってしまうことが多くとても苦しめたものです。

これに対して、右側の中指と薬指を足す運指を試してみたところ、あらあら、格段に外れにくいではありませんか!

下管の音孔を塞いだことでAbの倍音が出にくくなったのだと推察されます。

 

上記風笛の件の部分も難なく演奏できました!なんともうれしい。お勧めです。

 

音色が悪くなりがちな中央のC

オーボエの中央のCもまた、鬼門と言われています。というのも管の鳴っている部分が非常に短いためコントロールしにくく、ペラペラした、俗に言う「開いた音色」と言うものになってしまいやすいです。

この音が混じるフレーズはこの音色の問題をクリアするのが大変なのですが、一番よく使われる音域でもあり、音色の問題を無視することができません。

そんな頻出の問題児、中央Cの対策はこちらです。

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Cの代え指

 この右側のように右手の薬指の音孔を塞ぐとえらく音色が変わります。正規の運指だと上管の上の方から漏れ聞こえてきたようなCの音が、右側の運指を使うと管の中を通り、響いて聞こえるようにもなります。

 

この運指は大学生の時の先輩と習っていた先生の両方から教えてもらったことで、よっぽど運指が大変なところを除き必ずこの方法をとっています。

 

また、更に右手の中指を足しても影響ありません。例えば中央Dから降りてくるときなんか、この方法を使うと、右手の運指はそのままで、左手だけ代えればよく、エラーが減るというメリットがあります。

試してみてくださいね!

 

悩ましいF

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Fの代え指

オーボエの下と真ん中のFの運指は周辺の音と比べ、代え指が多く、3種類の出し方があります。左から「通常の運指」「第一候補」「第二候補」です。

第一候補は、通常の運指と同じ音孔を操作するものなので、性能はほぼ同等です。

第二候補については、音色と音程感が大分変ります。リードによっては、圧力のかけ方で音程が大きく変わってしまうこともあり、使いづらい印象があります。

この運指は「フォークF」と呼ばれます。これ、実はキーシステムが発達する前の楽器で用いられていた運指なんです。

キーシステムが開発される前の半音を出す手法のイメージを記します。

笛と音孔のイメージ図です。

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半音を得る運指のイメージ

レ#にご注目ください。このようにミの運指の隣の音孔を空け、隣の隣の音孔を閉じると得られます。

このフォークFはその名残なんですね!ちなみに、ちょっと脱線、単純にしたから音孔を空けていくとファが得られるファ♯が得られるのはなぜか?というとオーボエがD管だからです!

古い運指です。だからといって、この運指が使えないのか?というとそうとは限りません。Ab majorやDb majorなど、D♭とEbとFを連結する場合に使ったりします。

(右手小指のスライドが上手な人には不要かもしれません)

 

これと同じような理由で、FとEbやFとDなど、右手の薬指で通常の音孔を塞がなければならないときには左手でFの音孔を操作する2番目の運指を使います。

 

代え指がある理由

ここまで読んでいただければわかると思いますが、代え指が存在するには理由があります。

「運指を合理的にする役目」だったり、「発音を容易にする役目」だったり、「音色を改善する役目」だったり…初心者を脱した奏者さんは覚えていって損はありません!

また、「なんだかやりづらいなぁ?」と感じたときは代え指を探してみるのをお勧めします。

 

なお、「これだ!」と言う正解は実はありません!要は出したい音が出せれば何でもいいのです。現に最高音域の運指なんてほとんどどの楽器もメチャクチャです。自分でオリジナルの運指を探しだしてみるのもアリですよ!