以前ご紹介しましたチューバソロ「追憶」
こちら、最初はソフトウェア音源でのyoutubeを公開しておりましたが、やはり実演も必要だなと感じましたので、自宅の電子ピアノとオーボエ(かなり小さい音で一発撮り+音域編集などしており、荒いのはご勘弁ください...)での演奏を録音してみました。
その仮定でピアノの練習をしましたので、伴奏のポイントなどを記載できればなと思っております。
よかったら、読み進めてみてください。
チューバソロ「追憶」のピアノ伴奏について
音源および演奏に関するお詫び
まず、公開した音源を提示いたします。
なお、こちらの音源の意図としましては、人間の演奏の一例を残したいというものです。
ソフトウェアの音源は進化が続いていますが、細かいニュアンスやフレージング、アゴーギクなどはもう一歩なのかなと思っています。
どうしてもクラシックの系譜の楽曲はこのような一定ではない揺れが大事になってくるのかなと思っております。
なお、何点かお詫びが…
オーボエの演奏が非常につたないのはすでに申し上げておりますが…そのほかいくつかご容赦いただきたい点がございまして。。。
ピアノとオーボエのピッチの乖離が乖離していること(オーボエが少し高いので、調整すればよかった。。。)
オーボエの音間違えやアタック不良などがある
こちらは、あらかじめ把握していただいた状態でお聞きいただければと思います。
サンプル楽譜
Maestro様のページにありますので、よかったらご覧ください。
https://maestro2023.xsrv.jp/sample/solo/SPLM357-TU1P4.pdf
体感難易度:全音のDくらいかな?
作曲者が練習して弾いてみた感覚です。私は曲を知っているので譜読みの大変さはないのですが、ただ指を動かす練習は必要なので、その程度から察するに、30分くらいの練習を1週間やれば何とかなるレベルではあるので、全音のピアノピースだとDくらいかなと思います。
ソナタアルバム1、ワイマンの銀波、とかくらいでしょうか…
ただ、難しさというのは、その人が得手不得手に影響されるので、一概には言えないかもしれないですね..
音の数でいうと古典ソナタよりは多いと思いますが、ただその分豪華に聞こえやすいので表現の難易度は低いかもしれません。
ただ、完璧に弾くのは難しい部分がいくつかあるとは思います。後述します。
要練習ポイント
私体感の難易度は記載しましたが、全体の難易度とは別に、よく練習した方がよいと思われる個所をピックアップしていきたいと思います。
普段の役割と違う左手
普通のピアノソロではあまりないのですが…
ソロ楽器がチューバであるため、ベースラインをチューバが担当し、それ以外をピアノが担当する部分があります。
左手がベースではなく内声を担当するという点が、比較的イレギュラーかと思いますので、その点は慣れるまでは多少難しいかもしれません。
もしかしたら、比較的手ごわいエレクトーンの楽曲に慣れていたら問題ないかと思います。
C:たいして難しい音形ではないですが、案外慣れないと難しいかも。
E:Cに準じますが、テンポが速いので難しいかも?
Hの3小節前:これは右手でも難しいのですが、左手は指の独立が不十分だとバラバラになりがちです。
なお、これについては「ソロ楽器がベースラインを担当する」ことで生じた書法です。
ソロ楽器が純然たるベースラインを演奏することもあります(かといってベースラインもベースラインらしさのある旋律ではあります)が、後述、木漏れ日の日々同様、旋律がそのままベースラインに配置される個所もあります。
わかりにくいかもしれませんが…
前者はベースラインとして存在しそれが旋律になっている状態で、後者は旋律として書かれたものがベースラインの役割を担いうるものだった。こういう違いがあります。
音域の跳躍のある個所
ピアノ曲ではよくありがちですが、音域が激しく飛ぶ箇所があります。
腕や重心を瞬時に変える必要があるので、その点は慣れが必要かもしれません。
練習番号でいうとGは全体的に該当すると思います。
また、弾き方によってはFの7~8にかけてでしょうか。
作者からのアドバイス:他の曲にも応用できるかも?
他の楽曲にも当てはまるかもしれません、この視点があると可能性を広げられると思いますので、この曲に取り組まない人であっても発想として持っていてもよいのではと思います。
譜面通りにひかなくてよい
下の五線に書いてあるから左手、上の五線に書いてあるから右手、で演奏しなければならないということはないと考えています。
例えばFの5~7小節にかけては上の段に書かれている音を一部左手で弾いても問題ないと思いますし、私はそのように弾いています。
この箇所については、「ミスタッチを減らせる」「声部の分離がやりやすくなる」という理由からの採用です。
また、ピンポイントですが、H3の三小節前の3拍目のEbの音は私は右手で弾きます。
その音は右手の伸ばし音と同じなので、親指を用いれば弾くことができます。

この音を右手で弾くことで、左手の移動距離が減って、重心移動の距離が少し短くできるメリットがあると考えます。
ただし、左手が担当していたフレーズのまとまりを構成する音であるという点は忘れない方がよいかと思います。
オクターブのスラーは薬指も使うべし
手が小さい人は難しいかもしれません...
申し訳ないです。。。私も全然大きくはないのですが、オクターブは届くのでこの点は参考にならないかもしれません。
ちなみに、オクターブ届かないのであれば、大事な方の音だけ弾くというのもありです
これは、特に片方に黒鍵が含まれる場合はやりやすくなることがありますので、参考にしてみてください。
よく左手にオクターブのスラーが書かれていることがあると思いますが、こういう場合は低い方の音を4,5を交互に弾くとスラーにしやすくなります。
黒鍵は白鍵より短い距離で押さえることができますので、1,4で弾きやすいと思います。
薬指にある程度の長さがある人であって、1と5でオクターブが届くのであれば、指が開けば1-4で白鍵も行けるかもしれません。
是非、チャレンジしてみてください。
とはいえ...連続フレーズで黒鍵+白鍵の組み合わせと白鍵+白鍵の組み合わせで弾き方が変わるとそれはそれで変だと思いますので、いろいろ工夫してみてほしいです。
ペダルを使って工夫するのもありですが、かといって音が濁らないような足さばきが必要になることは申し添えます。
濁りやすくなる理由は、いくつかあります。
- スラー前後で和音が変わるため、ペダルを踏みっぱなしにすると濁る
- 和音が変わらずともペダルを踏み変えないと低音の密集配置の響きになる危険がある
などです。
旋律を聞こえるように:旋律と伴奏を片手でやる場合
練習番号Bの箇所ですね。旋律を思ったより強めに弾かないと埋もれてしまいがちなので、気をつけましょう。
ただし音量は欲しいですがニュアンスはその場所にふさわしいものにする必要があります。
愛の夢の冒頭もこの技術が必要になります。
またこの箇所は左手と右手で分散和音を分担していますので、そのなめらかさも必要かなと思います。
白鍵の2度は親指1本で弾いてもよい
Fの8小節目の右手ですね。
英雄ポロネーズの譜面でも見たことがありますが、こういう場合は親指を寝かせ気味にして一緒に弾いてしまう手が使えます。
無理に全部の音を弾かなくてもよいかも?
「作曲者がこれを言うなよ。」と思われるかもしれませんが…雰囲気を損なわないのであれば書いてある音を全部弾かなくともよいと思います。例えばこの前のセクションの親指で2個弾く箇所など。
また、オクターブが難しい場合は多少間引いたり、和音を間引いたりというのも全然ありと思います。
クラシックの系譜の作曲家は横の流れを気にして書くので、音の数が多くなりがちなところがあるのでは?と推察しますが、楽器で演奏する分には多少間引いても問題ないか、むしろすっきりと聞こえることもあるかと思います。
ただし、間引く音に関してはセンスまたは理論が必要な点も付け加えます。
ピアノソロは多少ルバートしてもよいのでは?
Bの箇所ですね。チューバがお休みして、ピアノが新しいフレーズを担当する場所、こういう場所は不自然でない範囲でルバートしてもよいと思います。
少なくとも、この「追憶」という楽曲においては、そのままするっといくよりも少し揺らした方が雰囲気が出る可能性があります。
テンポチェンジについても、小節を超えたらカチッと変更する必要はないかもしれません。ぬるっと自然に入った方がよい可能性もあります。
ただし、曲調によるということは合わせてお伝えします。
揺らさない方がいい曲調、テンポも厳密にギアをスパンと上げたり下げたりした方がいい曲調もあると思います。
ペダリングについて
K以降は要注意です。特にKのフレーズの2回目でオクターブ下がるところ。
とても濁ります。ピアノだけではなくてチューバとの兼ね合いで濁り安さがぐんと上がるため、チューバとピアノの左手の動きがはっきり聞こえるように演奏する必要があります。
これは、チューバの旋律とピアノのベースの旋律の音域がともに低い音域にあるためです。
通常であれば推奨されないヴォイシングで書かれているので非常に注意しなければならないと思います。
ペダリングについての関連記事
自作を用いた記事で恐縮ですが、ペダリングについての基本的な考え方の参考になると思います。
なお、念押しですが、あくまでも私の考えるペダリングの考察なので、この通りである必要があるわけではありません。もしいいなと思ったらご採用いただけたら幸いです。
出版情報
Maestro様で販売しております。
関連記事
同じく低音楽器のソロとピアノのための作品です。「追憶」作曲のきっかけとなったものです。
最低音域の楽器による、最低音域をも活用したソロというのは、作曲家冥利に尽きる興味深い編成であると思っています。