時々思い出すんです。
私は(日曜かもしれないし気まぐれだけれども)作曲家の端くれとしてこのブログを書いているんだったということを…
たまには(!?)音楽ブログとして正しい記事を書かなければ...ということで、新曲の記事です。
正確には2025年末に完成したものです。
個人的には、ソロコンテスト向きの楽曲になっているのではと思います。
是非、お気になる方は聞いていっていただければと思います。出版社に預けてあるので近日販売される予定です。

ソロコンにもおすすめ⁉ チューバソロ「追憶」/木漏れ日の日々の後継か?
前段:前の曲から2年以上空いての作曲
ここは飛ばしていただいても全く問題ないセクションですが、記録としては残しておきたかったので、自己満で記載させていただきます。
選曲候補の方は飛ばしてくださいませ…
こんなブログを開設しておきながら、本当にのらりくらりと生きておりまして前に曲を書いたのは「はて、いつだっけかな?」と調べてみると、軽めの曲を2023年の夏に作って以来でした。
なんと2年も空いてしまった…
なぜこんなに空いてしまったのかというと、端的に書く気が起きなかったのでした。
そういう時期だったのでしょうか。
いかんいかんとは思いながらも、気分が乗らず、多分ろくなものが書けないなと思っていたのでしょう。
私は幸いにして職業作曲家ではないので、無理にひねり出す必要はないのですが、でも枯れたかなと自信に失望しておりました。
それは思いのほかショックなものでした。
ただ、時というのはいきなり来るもので、「あ、書こう」と思い立ち、数日間で一気に作り上げました。
メールを見返してみればおそらく10月末から11月頭にかけてのこと。
何がきっかけだったか思い出せないのですが、ただ、その時に意識した曲は覚えています。
それは自作の「木漏れ日の日々」です。
これがもう5年も前の楽曲だとは...
コロナ禍中に書いた、うちでも一人でもできるシリーズのコントラバス(またはチューバ)の楽曲でした。
この曲は「オーダーがあったから」書いたものなのですが、楽器選択については裁量がありました。
「コントラバスの現代邦人のレパートリーってあんまりないような気がする。じゃ、作ったろ」という思いと「最低音域の楽器のソロはチャレンジ対象として燃える」という理由もありました。
ただ、コントラバスは過去の偉大な楽曲が思った以上にたくさんあったことと、吹奏楽業界ではどうしてもチューバより人口が少ないからなのか、あまり反応がなくしおれておりました。
でも、とても考えて作ったので悲しいですよ…コントラバス奏者の皆さん...
そんなしおれた私を救ったのが、同時に作ったチューバ版でして、これはしがない私の音楽人生における現時点での一番のヒット曲になっていると思われます。
ソロコンテストでは思いのほかたくさんの方に取り組んでいただいたようでして、小学生でいい成績を収めた方もいらっしゃった模様。
定期的に数も出てますし、出版社の再生数もある程度の域を達成しているようです。
また、今回記す「追憶」を除くと最後に書いたクラシックの楽曲で、年齢的なこともあってか、自分の中ではかなり完成度の高いこなれた佳作であるとも感じていました。
作った当時は、『もう最低音域ソロ楽器の曲は書けないかも。出し切ってしまったかも』と、なんとなく思っていました。
当時は本気でそう思っておりました。
その時から5年もたちまして、気持ちも変わったのでしょうか。
するすると書けてしまいました。
「もう終わりだ」とは思わず、書き続けようと思いなおせたのかもしれません。
「追憶」はよい曲だと作曲者自身は思っています。
少し系統が異なるので単純には比べられませんが「木漏れ日の日々」に匹敵するか、もしかしたらそれよりいい可能性もあるかもしれません。
重ねてになりますが、もう無理と思っていたジャンルが書けたというのは一つ自信になったように思います。
長い前置きになりましたが、こうした背景の曲です。
音源
やっと本題です。
YOUTUBEに公開したものがありますので、よかったらご一聴ください。
基本的なデータ
- 編成:チューバとピアノ(ユーフォとピアノ、コントラバスとピアノ版も作っています)
- 調性:ハ長調
- 拍子:4分の3拍子
- 楽式:三部形式*1
- テンポ:四分音符で60~108の間*2
- 難易度:チューバは中級以上、ピアノも中級以上の想定*3
形式について
形式は三部形式としましたが、やや変則的なので詳しく書こうかと思います。
大きく「A-B-A'-Coda」となりますが、
再現のAは縮小版であり、ちょっとした変則的な構造にもなっています。ただ、私は好きでこのような構造をよく採用しています。
A(主部と再現)の部分
- A:aa'ba''
- A’:b'a'''
再現のほうは頭のaが省略されているような形です。人によってはb'はBに含まれると解釈する方もいるでしょう。
B(中間部)の部分
中間部の構造は以下の通りです。
- B:cc'dd'ee'fghd''
cを中間部のメインの動機だとします。
とはいってもaともやや共通点はあるのですが…
cdefghとありますが、cdfghにはcをもとにした動機が含まれており、efgにはaをもとにした動機が含まれています。
「主題の展開が行われている」という意味でソナタ形式における展開部的な部分にあたると考えています。
本来でいえば、提示部の第二主題を含む形なのかもしれませんが、性格的には展開部的でしょう。
Coda
Codaについてはaの順序を変更して曲調を変えた形です。
aの派生ともいえますが、雰囲気は異なっています。
曲調
主部は牧歌的=静、中間部は切迫した部分、豪華絢爛な部分=動と対極的な2つの雰囲気からなる楽曲です。
ど頭はなんとチューバのドソロによる主題からの開始です。
最初のチューバで世界観を出せれば、場をぐっと引き込めるかもしれません。
こぼれ話:作曲上のこだわりポイント
チューバに提示される最初の主題では属音を排除しました。
これだけで何か変わるのかといわれるとやや微妙ですが…
導音こそあれど調性感があいまいなふわふわした雰囲気を出す狙いではあります。
牧歌的(理想郷、パストラル)な少し神聖な雰囲気が出せていたらうれしく思いますが、どうでしょうか。
私はよくやるのですが、中間部の主題は実はその直前に変形した形で表れております。
少し注意深く聞いていただけると発見があって面白いかと思います。
ソロコンにおすすめ(あくまで作曲者評です!)
木漏れ日の日々もソロコンでたくさん取り上げていただいておりますが、追憶もソロコン向けの楽曲であると思います。木漏れ日に比べ展開はよりドラマティックになっているかと思いますので、より高学年の皆さんにも取り組んでいただけるのではないでしょうか。
技術的に難しい箇所もありますが、Ossiaを活用すれば曲調を損なわず取り組めると思います。
さて、これからソロコンシーズンです。
この曲が皆さまの助けになれば幸いです。
是非、お手に取ってみてください。