スコアの読み方入門
なぜスコアを読めたほうがよいのか?
他のパートとの組み合わせで旋律ができる曲の例。
基礎知識
スコアリーディングをするにあたって、初心者向けの基礎知識の章です。とは言っても、楽典の基礎知識(音符やら拍子やらの話)はすっ飛ばしておりますので、ご了承ください。
あくまで、総譜を読むという観点の基礎知識です。
いずれか基礎知識の記事も書いてみたいものですが…
上から、木管・金管・打楽器
ざっくり申し上げますと、木管・金管・打楽器の順番で並んでいます。
こんなイメージです。
見出しには書きませんでしたが、コントラバスは通常金管と打楽器の間に書かれます。
大体の位置関係を覚えておくと、探す手間が省けることでしょう。
ならび順の一例です。
- Piccolo* Fluteと逆のこともある
- Flute* Piccoloと逆のこともある
- Oboe
- Bassoon* Clarinet属の下に来ることもある。(おそらくオーケストラの順番に倣っている)
- Clarinet in Eb
- Clarinet in Bb
- Alto Clarinet
- Bass Clarinet
- Soprano Saxophone
- Alto Saxophone
- Tenor Saxophone
- Baritone Saxophone
- Trumpet* Hornと逆のこともある。オーケストラではほとんどHornがTrumpetの上
- Horn* Trumpetと逆のこともある。オーケストラではほとんどHornがTrumpetの上
- Trombone
- Euphonium *Baritoneと書かれることもある。 (パート譜にin Bbト音記号が含まれる場合も)
- Tuba
- Contrabass *別名多し。Stringbass, Doublebass, String Double Bass etc...
- Percussions
速度標語の書かれる場所に注意
速度標語はとても大切なものでありますが、スコアにおいては一番上だけのことも多いです。あっても、木管と金管の間、金管と打楽器の間に追加されるくらいです。
全部のパートにずらっと書いてあると見づらいですよね?ということで、こんな書き方になっています。
CodaマークやD.S. カッコなども同じことが多いです。
また、古い楽曲のスコアでは時々強弱記号も省略されていることもありますので、ご注意ください。
組段が省略されることがある
最近の吹奏楽のスコアではあまり見かけませんが、昔のオーケストラの特にポケットスコアではよくあります。
例えば、パート譜で見たときに16とか24とか書いてある長いお休みがありますよね?そういった場合に、スコアでその楽器の五線が省略されることがあります。
曲者移調楽器
吹奏楽にかかわらず、管楽器を扱う合奏体で頭を悩ませるのが移調楽器です。簡単にいうと、譜面に書かれている「ド」を演奏した時に、ピアノの「ド」と違う音が出てくる楽器があるということです。
初心者は、同じ「ド」を演奏しても違う音が出てくる楽器があるということだけでも覚えておくと楽譜を見たときの?マークが減るかと思います。
もしこの点に興味があるとか、もう少し先に進みたい。という方はリンク先の記事をお読みいただければと思います。
こちらの記事にまとめてありますので、ご興味のある方はこちらをお読みください。
初心者向け使い方
さて、基礎知識と申し上げながら、なんだかやたらとややこしいことを申し上げたと思われる方もいらっしゃるかと思います。
はい、その感覚は正しいと思います。ややこしいですね...
今は理解しなくてもかまわないかと思います。
ただ、それを理解していないにしても、「そういうものである」ということを知っているということは、大きな価値です。知らなかったが故に、そこで躓いてしまい、嫌になってしまうということもあります。
では、ここからより実践的な段階へ行こうと思います。
同じ形を見つけるべし!
自分と同じ仲間のパートを見つけてみましょう。
同じパートの違う形を見つけるべし!
ここはつられてはいけない場所なんだとわかることも大事なこと。
メロディを探してみよう
スコアからメロディを探すのはとても大切なことです。なぜならば、それが自分の役割を把握する大きな手掛かりとなりうるからです。
役割が把握できるということは、演奏方法を推測できるようになります。
たとえば、メロディやベースラインだったら大きめに、対旋律だったらメロディと同等か少し抑えようかな?伴奏系だったら小さめに…という簡単なことでも意識するとしないとでは大きな違いです。
最初の一歩は大きな一歩ですよ!一つ気づけるようになるとそのうち別のことに気づけるようになります。それを積み重ねるといつの間にか、楽曲全体の構成が理解できるようになる。。。かもしれません!
わらしべ長者を見習ってみましょう。
スコアリーディング初歩の学習に役立つコンデンススコア
スコアにも実は種類がありまして、フルスコアとコンデンススコアというものがあります。
フルスコアは各々の楽器の楽譜が正確に記されているものです。
コンデンススコアというのは、楽器ごとに五線を分けたものではなく、役割事に見やすく集約したものです。フルスコアと比べると段数も大幅に少なくなることが普通です。
どちらのスコアにも利点ががありまして、フルスコアはすべての楽器の音の情報を正確に得ることができます。その分情報量が多くなります。上記並び順一連をご覧いただければ想像がつくかと思います。
コンデンススコアの場合は、楽曲の構造をシンプルに表現できるという利点があります。楽曲の内容を理解するには、よいアイテムです。
ただし、あまり複雑な曲には向きませんし、またどの楽器がどの役割をやっているのかを正確に把握するのは難しいです。もちろん、推測できる情報はついていますが…それにしても。ねぇ…
コンデンススコアがスコアリーディングの役に立つと申し上げましたのは、役割事にまとめられているため、情報量が少なく、シンプルになっているからです。
人間、慣れてくると処理できる量も多くなりますし、取捨選択できるようになりますし、大量な情報も扱うことができるようになります。
しかし、それはあくまでも慣れてきたらの話です。
経験と時間が必要です。
情報量が少ない。というだけでもハードルがえらく下がります。ということで、導入にはコンデンススコアをお勧めします。
とはいうものの、コンデンススコアなんて、そんな簡単に手に入らない...ということもあると思います。
そんなときは…
ピアノ譜や合唱の譜面でも代用できるかも!?
はい、お好きなピアノ曲や合唱曲をスコアリーディングの勉強に使ってみましょう。
ピアノ曲であれば、たいていは2段しか書かれておりません。
また、曲数も大量にありますし、初心者向けのとーってもシンプルなものから上級者向けのとーっても複雑なものまでたくさん取り揃えられております。
おそらく、一番数多くの種類が出ているのがピアノの楽譜であろうと思います。大量に出回っているということは、お値段もお手頃です。
また、最近はYoutubeなんていうとても便利な代物がありまして、仮にピアノが弾けなかったとしても、譜面を見ながらyoutubeを聞くことで、スコアリーディングの練習ができちゃいます!
そう、楽譜は演奏だけでなくて、勉強にも使えるんですよ!
ということで、だまされたと思ってやってみてはいかがでしょうか!
慣れてきたらポケットスコアを買ってみよう
スコアを読むことに慣れてきたら、ポケットスコアを買ってみて、上記の方法。youtubeなどの音源に合わせて読みながら聞くというのをお勧めします。飛躍的に情報処理能力が上がるのがわかるはず。
指揮 or 練習の仕切りをしてみる
はい、ちょっとぶっ飛んだ方法ですが、とても効果があると思います。
それは、実際に練習を仕切ってみるということです。合奏でなく分奏でも構いませんし、もしかしたらパート練習でも意味があるかもしれません。
もちろん、ここまでに書かれているような勉強はある程度したほうがよいと思います。
でないと、練習参加者側からブーイングの嵐でしょうから…
でも、練習を見るという緊張感と責任感でスコアリーディング能力は飛躍的に上がることでしょう(責任を感じなさすぎるタイプの人はやめたほうがいいかも)
また、この方法をやると、例えば、他の人との指導の違いを実感することになると思いますが、それはむしろ学びのチャンスで、仕切り係としてとプレイヤーとしての両方で参加することによって、自分は見落としがちなところを気づけるようになったりもします。
自分が注意しない点でほかの人が拾っているところはチャンス。今度はそこに注意が向くようになります。
最初から読める人はいません
スーパーマンでもない限り、いきなりスコアを読める人なんていません。大体パート譜を読めるようになるのも大変ではなかったですか???
私に限っても、高校生くらいの頃、すでに吹奏楽は6年近く続けていましたし、ピアノは10年以上習っていたし、ラフマニノフのピアノ協奏曲に無謀にもチャレンジしよう…という程度には譜読みができていた人間でしたが、スコアは読めませんでした。
より正確に言うと、練習の指導をできるほどには読めませんでした。でも、譜面を見ながら聞く、指導してみる、なんてことを繰り返しているうちに、読み方のコツもわかってくるし、実際に練習を取り仕切る程度にはなれました。
もちろん、作編曲をしているというのも大きな側面かもしれませんが…
語学の学習と一緒ですね。一朝一夕にはできませんが、努力は無駄になりません。
ということで、小さなことからコツコツと頑張ってみませんか?
吹奏楽関連記事