本日は、主題操作についてです。
主題操作。「なに?漢字ばっかりで小難しいじゃないか。。。」と思うなかれ!
年末によーく聞くあの曲で解説をしております。
また、それに絡めてこの12月にあります拙作の(吹奏楽版)初演作品について、少し触れてみようと思います。
意外と身近な「主題操作」
主題操作とは「旋律のアレンジ」のことである
主題操作に関して、自作のアッピールのためにこんな記事を書いていました。
音楽用語って難しいですよね。でも、名は体を表すなので、理解していまえば、「あーはー」って感じにはなりますよ。
主題操作も言葉だけ聞くと「???」かもしれませんが、現代の楽曲においてもよーく使われる技法です。
主題操作とは端的にいうと「旋律のアレンジ」です。
日本の年末の風物詩。ベートーヴェンの第九で、その例を見てみましょう。
よーく聞くパターンです。
ミーーーファーソー|ソーファーミーレー…といった形です。
トルコ行進曲風。6/8拍子に代わっているのがお分かりでしょうか?
んっミミー|ーんっファソー|ーんっソファー|ーんっミレー|…といった形です。
ラストです。
ミミファソソファミ(ミ)レ|ミミファソソファミ(ミ)レ…といった形です。
これは、かなーりわかりやすい部分、かつ、わかりやすい例を持ってきましたが。
例えば「ミミファソー」と…
- 上がる代わりに「ミミレドー」と下がる
- 「ソーファミミ」と後ろからなぞる
- (時には、一瞬関連性がわからない程度に)「みーーーーみーーーーーふぁーーーーーそーーーーー」のように引き延ばす
- リズムだけを利用する(ベートーベンの運命が有名ですね。中学の教科書にも載っていたりします。んダダダダーンのリズムですね)
と、何らかの関連を持たせて変形させることを言います。
現代においても多用される技法である
ソナタ形式が隆盛した時期にこの手の主題をいじくりまわす技法は一気に発展を遂げました。
ただ、これが古臭い技法なのかと言われたら、そんなことはなく、古くからあるというだけで、現代の吹奏楽曲のみならず、現代のポップスにおいても使われているものであります。
そう、普遍的なものなんです。
だってね、ただ単に繰り返したら飽きるじゃないですか。
かといって、全然違う旋律を持ってきたら、脈略がなくなってしまうんですよ。きれいな旋律でも使っては捨て、使っては捨て…だと、「あー、なんだかきれいだったけど、よく覚えてないやー」となってしまうんですね。
ということで、こういう技法があるわけなんです。
ライトモチーフ
これと似てはいるもので「ライトモチーフ」というものもありますよね。
ワーグナーが提唱したものと言われていますが。ある登場人物が出てきたことを明示するスポットライトみたいなものといえばよいでしょうか。
例えば「ある登場人物のテーマ」と考えればよいでしょう。
劇中にその登場人物が重要なことをするたびにでてくるものです。
また、その時の場面や置かれた状況、感情などによって、暗くなったり、悲しくなったり、歓喜に満ちたり…とアレンジが加わります。
ライトモチーフの現代における実用例
これも、別に古い技法ではなくて、もっともポピュラーな劇音楽の手法です。
(日本のドラマだって、例えば、主題歌のアレンジがドラマの最中に流れたりしますよね?)
そう、ゲーム音楽なんかにもでてきます。某有名なDQ(すぎやまさんはもろ高等な音楽教育を受けた方ではいますが)しかり、FFの音楽しかり、私の大好きなChrono Crossしかり…
例えばDQ6であれば、敵の象徴のモチーフが戦闘シーンの楽曲(雑魚、ボス含む)、洞窟や塔(危険なダンジョン)の楽曲で使われていたり、忌々しいイベントの効果音で流れたりしていますし、FF6でいえばラスボスであるケフカの音楽が、登場シーンで流れたり、ラストバトルの音楽である「妖星乱舞」でアレンジされて使われていたりetc...
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脈々と受け継がれている技法であります。
言葉尻に捕らわれずに、「ふーん」と受け入れて、なんとなーく聞いているとだんだんわかってくるかもしれませんよ。
来る初演作品にて、主題操作…私も使ってます...
ここからが本題です。
来る2019/12/1(日)南総文化ホールにて、私の最後の出演となります。第26回鴨川吹奏楽団定期演奏会が行われます。
ここ数年。作曲作品を取り上げてくださった鴨吹ですが、きっとこれが私の作曲作品を演奏する最後の機会になるのではと思っております。
ちと脱線、楽曲についてをば…
今年初め、(いろいろ大変な時期だったこともあり)実はなかなか気が乗らず筆がすすまなかったのですが、でも、「やるならこれだろう」と決心をして、遅ればせながらもアレンジを完成させた作品です。
吹奏楽版は初演ではありますが、今回は原曲があります。(とはいっても、全曲の生演奏はされてないと思います)
オリジナルはこちら。
原曲のテイストは損なっていませんが、編成が拡大したことによって、だいぶ豪華に変わったと思います。受ける印象もかなり違うことでしょう。
お楽しみに…していただければと思います。
実は、この楽曲の演奏ですが、ちょっと前までどうなることかと思っておりました…
例年、本番が近づかないとメンバーがそろわないし、火がつかない楽団ではあるのですが、今年はいろいろあってそれがより顕著にでてしまいました。この楽曲に問わず綱渡りでしたよ...
でも、やっと演奏会を迎えられそうな雰囲気がしてきました。
今だって、危なっかしいことに変わりはないのですが、先週の練習で先が見えました。
ここまでくれば、「是非聞きに来てください」と申し上げられます。
どうか、聞きに来ていただきたいです。
オリジナルは、もともと「売れないだろうな」と趣味で作った作品だったりします。
でもそういう曲にかぎって、個人的にはお気に入りだったりしまして…
また、予想に反して、数は少ないけれども、売れている作品だったりもします。お金を払って手に取ってくださる方がいるなんて、ありがたい。価値が認められたようでとてもうれしく思っています。
また、とーってもうれしいことに、今回の吹奏楽アレンジを練習して気に入ってくれたらしく、トランペットのメンバーがわざわざオリジナルの金管八重奏バージョンを購入してくれたんです‼(泣くほどうれしい)
何気に、思い入れの大きい楽曲であります。 でなきゃ、わざわざアレンジしないよね…
初使用の打楽器がじゃんじゃん(今までの作品と一線を画しているかもしれない)
「ディベルティメント」というタイトルなのですが、その名の通り、あまり気負わずに、気楽に描いた作品であります。
その気分はアレンジにおいても表れたようで、使用する打楽器の種類がこれまでと一線を画しています。
吹奏楽クラシック系オリジナル作品に初めて使った楽器がとても多い作品になりました。
例えばこんなもの…
- ドラムセット
- ウィンドチャイム
- ラテンパーカッション(シェイカー、コンガ、ティンバレスetc)
今まで、ちょっとお高くとまっていたというか…「打楽器といえばティンパニとチンドンシャン(トライアングル、バスドラム、合わせシンバル)だろ」なんて思っていたというか…だったのですが、いい意味で力が抜けました。とはいいつつ、用法に慣れていないので、打楽器のみなさんにだいぶお任せしてしまっているのは内緒。
また、クラシック系の楽曲とは言いつつも、一部の楽章にJazz風のワルツ(和音がだいぶ単純なのと、自由度が低いので、Jazzワルツと断言するのははばかられる)があったりと、自分の中ではだいぶチャレンジングな作品になっています。
ほら、興味がわきませんか???嘘でも沸いたといって(苦笑)
初演作品「ディベルティメント」での主題操作について
ここまで、前振りとつながらないじゃん?と思ったあなた。
ここからちゃんとつながります。ご安心ください。
気安く作った楽曲であるとは申し上げましたが、なにぶん自分の性分は抜けきらないようでして。相も変わらず小難しさが残ってしまいました。割と理系な楽曲を作り上げてしまう質なんです(私は別に理系じゃないのですが…)。この曲も多分に漏れずそんな作りになっています。
その例の一つとして、主題操作があります。この記事のテーマにつながりました。
今回は単独楽章の中だけでなく、全曲にまたがったものです。循環形式といわれるもの近いかもしれません。
全4楽章からなるこの楽曲ですが。楽章ごとに、各々異なった旋律を持ちつつも、実は相互に関連しているという例をご提示したいと思います。楽章をまたがった主題操作とお考え下さい。
何がしたいか…と申しますと、ご来場いただける皆さんの立場的に、もし知っていたらただ聞くより面白いかも?と思いましてね。知らなくてもきっと面白いはず…
あとは、奏者の皆さんにとっても「へー!?」かもしれないなと思っております。奏者の皆さんは知っておいたほうがよい。余裕があれば…
さて、メインとなる主題はそれぞれこんな感じです。
第一楽章
第二楽章
第三楽章
第四楽章
で、このすべてが、第一、二、四楽章にすべて現れます。
一部お見せいたします。
第一が黄色、第二が緑、第三が青、第四が赤です。変形して使われています。
第一楽章ではこのように使われます。
第二楽章では…
第四楽章では。
そう、こんな感じで主題操作をして使っております。この使用例は主題操作だけでなく、各楽章の関連付け、曲全体の統一感を出す目的もあり、その点においては主題操作以外の目的をも持つものであります。
クラシック音楽を聴く醍醐味の一つとして、2度目以降の鑑賞においても「聞くたびに新たな発見があること」というのがあると思います。
「あ!?これはあの旋律と関連していたんだ!」と知るのは、一時期はやった脳の「アハ」体験でございます。
是非、ご堪能ください。
そんな曲になっていたら、幸いです。
さて、ここまでで、第三楽章が出てきませんでした。
なぜなら、第三楽章においては、他の楽章の旋律が使われていないからなのでございます。
なぜなのでしょうか?
それは曲の成り立ちに由来するものです。
もし、ご興味ある方がいらっしゃいましたら…こっそり聞いてみてください。そのうちおいおい。。。
鴨川吹奏楽団 第26回定期演奏会
ということで…
- 鴨川吹奏楽団 第26回定期演奏会
- 2019年12月1日(日)13:30会場/14:00開演
- 南総文化ホール 大ホール
- 入場無料
皆様のお越しをお待ちしております。