本日は久しぶりに、吹奏楽曲のオリジナル曲をご紹介してみたいと思います。といっても、書くのに時間がかかる上に、実演の音源って限られているので、そんなに数もないのですが…
今日ご紹介する曲は、個人的な思いや希望を託して書いた曲であります。それが叶ったのか?と言われると、No…なのですが、まだ道半ばなのかもしれません。
行進曲「船出」楽器法の苦い思い出とともに 嗚呼、ティンパニ…
鴨川吹奏楽団 第21回定期演奏会 音源
1月の日記でも書いたと思いますが、所属する楽団の総会の場にて、「音源使ってよいよー」というお許しをいただきましたので、遠慮なく…の第3弾でしょうか。
鴨川吹奏楽団第21回定期演奏会での演奏です。
- 2014年12月14日(日)
- 13時30分開演(13時 開場)
- 鴨川市民会館 入場無料
- 指揮 田中玲子
鴨川吹奏楽団のWEBページを貼ってみる。
あまり更新していませんが…
Twitterのほうが更新頻度高めです。
1993年結成の今年26歳になる楽団です。
もう、5年も前のことです。時がたつのは早い…瑕もたくさんありはしましたが、熱い演奏をお届けできたのではないかと思います。
実は、この曲はこの2年前の第19回定期演奏会でも取り上げてもらっています。
作曲の経緯
これ、実は吹奏楽作曲家の若手の登竜門(???)ともいえる朝日作曲賞応募作品だったりします。というか、暴露すると、たいていの吹奏楽作品はそれに応募したものをそのままだったり、改定したりしたものだったりします。
タイトルの「船出」ですが、「作曲賞に受かってあたらしい扉を開きたい!」という願いそのままつけたものだったりします。ただ、なんとなくそういう気持ちがあってつくあったからなのか、転んだり躓いたりしながらも、前を向いて先へ進んでいこうというメッセージ性のある曲になったようにも思います。
ま、その願いは叶わなかったのですが、現在進行形でがんばってい。。。ま。。。す???また、チャレンジするつもりでおります。
ちょっと頭でっかちだったかな。。。?曲について
思いを込め、勇んで作った曲ではあるものの、自分の中の評価としては微妙なものです。嫌いではないんだけれども、難があるというか、頭でっかちだったというか(苦笑)
言葉で言い表すのはちょっと難しいのですが...
悪い点 明らかな反省点 ティンパニの書法
前に、こちらの記事でティンパニの書法で大失敗をしたことがある。。。という記事を書きましたが、大失敗をした曲と言うのは、実はこの曲だったりします。
この部分
赤丸で囲った部分が問題になる箇所です。
これを、通常の23,26,29,32インチの4台で演奏しようとなると、このG音とF音を両方とも32インチで演奏しなければならなくなってしまいます。
「いやいや、上からD,Bb,G,Fでいけるじゃん?」と思われるかもしれません。当初の私です。
上から、D,Bb,G,Fはだめなんです。上2音の音質が著しく悪くなってしまいます。(下でGとFはOK)。
となると、GとFを両方32インチで演奏し、急速に音程を変える(しかし、間の音が入ってしまうでしょう)か、29インチの釜で2拍目Bbを演奏した後に、Gに音程を変える(これも、手数が多い上にタイミングがシビアすぎる…)しかなかったわけなのですが、どちらにせよ、この譜面に書かれていることを再現しようとする努力に比して効果的とはいえないものであったといえます。
そのため、ここの書法については、以下のいずれかを選択する必要がありました。
- GではなくBbを採用する
- できれば1拍頭から、少なくとも2拍目頭をGにする
- Gの音を一オクターブ上げる
個人的には1の手段がよいかなと今は思っております。改定する場合はこうするでしょう。
ちなみに、この曲のほかの部分にもこういった点は見られます…
よい点 発見したこと「フルートの高音は全合奏でも割とよく聞こえる」
赤字で囲んだ部分です。
この譜面の開始部分から再生できる音源を貼り付けました。
しばらく聴いていただければ、該当の部分が出てきます。
聞き始めた時点で、フルートの音聞こえますか???音色の一要素としてかろうじて聞こえる…か…な?というくらいではないでしょうか?明確に聞こえるというかはすごいです…
それに比べて赤で囲まれた部分ではよく聞こえるのがわかると思います。ピッコロではないことは、「D、F、D」の最後のD音が聞こえることからわかると思います。
フルートのこの音域はあまり強い音域ではありません。また、この部分においては、クラリネットおよびエスクラリネットが同じオクターブで演奏しております。
吹奏楽においてはただでさえ人数の多いクラリネットがよく通る高音域を演奏している場合、ユニゾンのフルートの単体としての音色要素は聞こえなくなってしまいます。
しかし、その音域上の音域でかつ、クラリネットやエスクラリネットが重ねられていない場合はちゃんと聞こえるということがわかりました。
なんで、こんなことを書いたかというと、19回のときはこの1オクターブしたを演奏させていたのですが、フルートの音が聞き取れなかったのです。それを受けて、ちょこっと変えてみたのですが、21回では聞こえる聞こえる。意図したよりも聞こえました。(いや、むしろありがたかったのですが)
実演してくれる奏者がいるというのはありがたいことだなと思います。
ちなみに、最高音のFよりもっと上の音域、G、A辺りになると、クラリネットが重なっていてもフルートの音が聞こえます。
もちろん、奏者の技量に応じて変わる現象であるということは付け加えます。
行進曲なのか?
この曲、DTM版を実はniconico動画にアップしていたりするのですが、そこで付いたコメントで、考えせられました。
「この曲は、行進曲なのか?」
行進できるか否かで判断するとすれば、行進出来る曲ではあります。形式的にどうなのか?と申しますと、一般的な行進曲とは言えないかなと。
この曲、トリオで終われないんですよね。トリオがマーチ主部の調の半終止なんです。
たいていのマーチはトリオの終わり部分は、トリオの調(下属調が多い)の完全終止です。
また、第一、第二マーチ、トリオから構成されるパターンが多いのですが、この曲においては第二マーチにあたる部分がありません。
第一マーチは半終止、第二マーチは完全終止のパターンが多いのですが、それにも該当しません。
でも、行進曲でいいと個人的には思っております。迷いながらも、前を向いて歩いていこうという曲なので…
ちなみに、入学式、入社式があるような時期でもない、なぜこのタイミングでこの曲を記事にしたかと申しますと、「今が個人的な転換期に重なったから」です。
反省の多い曲ではありますが、その反省を、反省した心を持って、人生を先へ進めたいなと思っております。
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