POPSにも果敢にチャレンジ!クラシック作編曲家 田丸和弥の音楽日記

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寂しい秋の風を歌うサックス四重奏「秋声」

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まだ、夏も始まったばかりではございますが、今日は寂しい秋をテーマにした楽曲を葉…

 

 

寂しさを連れてくる秋の風を歌うサックス四重奏「秋声」

動画

Brilliant Colors Saxophone Ensembleのみなさんによる演奏です。

www.youtube.com

弊社出版レーベル(HID楽譜出版)のサックスアンサンブルの録音を協力していただいています。

クラシカルな演奏をしてくださるアンサンブルと出会って救われた曲

この寂しげなワルツに関わらず、サックスアンサンブルの楽曲を全体的に綺麗でクラシカルな曲調にしてしまう、私なのですが。今まで音源に恵まれませんでした…ソフトウェア音源のサックスの音色がいまいちで(本当にサックスだけ酷いのです…なぜか)、あぁ、これを聞いても絶対選曲されないだろうな…と思っておりました。

しかも、もともと、サックスはJazzやPopsで活躍する曲で、クラシカルな曲はあまり向かないんだろうなぁ…なんて思ってもおりました。実際は、Jazzテイストが得意な奏者さんとクラシカルな演奏が得意な奏者さんがいて、どちらもできるのだそうなのですが…なんとなく今まで私が出会った人、特にアマチュアは余計にPopsよりの人が多いイメージで、クラシカルな演奏が得意な人に出会ったことがなく、ずっとこんな風に考えておりました。

しかし、ブリリアント・カラーズ・サクソフォン・アンサンブルさんに出会って、サクソフォンによるクラシカルな表現の素晴らしさを知り、認識を修正することができました。

貴重な体験でした。

 

この曲は、まさにクラシカルな曲調の楽曲ですので、この演奏ありで初めて、選曲対象のスタートラインに立てたのかな?と思っております。

 

 

「秋声」という言葉に出会って、日本語って美しいなと思った

タイトルにつけた「秋声」という言葉ですが、実は最初から知っていたわけではないのです。類語辞典というものを使って、調べたものです。

英語のタイトルは"Sound of fall wind"で、もしかしたら、かえってこちらの方がすんなり意味が入ってくるという方もいるのではないでしょうか。

秋を想起するもの、「秋の風」みたいなものの独自な言い方はないものか?と調べていきついたんですね。

意味は「風」に関わらず、「水の音」「鳥の声」などを含む秋を感じさせる気配を指すものだそうです。

私は、実は「秋」という季節があまり好きではありません(好きではないという感覚を含めて好きだったりもしますが…わかりにくいですよね...)。

秋は「終わり」を感じさせる季節だと思っていて、その寂しい感じが憂鬱な気分に結びつくように思うからです。でも、また、その感じが情緒的であるとも思うのですけれどもね…

これは、なんとなく日本人に共通する感覚なのでしょうね?こんな言葉があるくらいだし…

 

それにしても美しい言葉ですよね。「木枯らし」という言葉も美しいと思うのですが、こう比喩的な言葉、その現象をそのまま表すのではなく、別のイメージを掻き立てるような言葉で表現するってところに、繊細な感性や美しさを感じて、素敵だなと思います。

 

そんな気持ちを込めて作ってますが、この曲はその表現ができているのでしょうか???

 

かんたんな楽曲解説

4分の3拍子、ニ短調、アレグロモデラートのワルツです。形式についてはソナタ形式的な特徴を持つ、複合三部形式の楽曲です。

主題は主に3つで、もう一つ補佐的な主題が提示されます。

  1. 第一主題:主部頭で提示
  2. 第二主題:主部後半で提示
  3. 第三主題:中間部の主題
  4. 補佐的な主題:主部の小結尾、中間部の中間で提示されるもの

 

1つ目はアウフタクトを除く2小節目から始まる以下の形のものです。

第一主題

第一主題

2つ目は、第一主題と比べ息の長いもの

第二主題

第二主題

3つ目は中間部の主題です。

第三主題

第三主題

赤枠、バリトンサックスによってそうされます。

脱線ですが、緑の細い枠を見ていただくとわかるように、伴奏形がヘミオラ(4分の3拍子×2単位で書かれているにも関わらず、4分の2拍子×3単位で和声が変わる)形が採用されています。これによりリズムの面白さを出しています。

青いラインのところについては、旋律もヘミオラになっております。

 

 

もう一つ、最後の補佐的な主題です。主部と中間部に共通する要素として以下のような部分もあります。

主部と中間部で共通する主題的要素

主部と中間部で共通する主題的要素

この部分が主部においてはト短調で、中間部においては変ロ短調で、再現部においてはニ短調で使われています。

 

複合三部形式の内訳は以下のようなイメージです。

A(1.2.4.)-B(3.4.3.)-A'(1.2.4.)コーダ

番号は上に提示されたものに相当します。

 

ソナタ形式的であると言ったのは、第二主題および補佐的な主題(2.4.)の調性配置についてです。

主部(A)においては、主調がニ短調なのに対して、下属調のト短調で提示されるのに対し、再現部(A')では主調のニ短調で提示されます。

通常のソナタ形式の場合は平行調か属調であることが多いですが、提示部で主調と異なった調で提示されたものが、再現部で戻ってくるという作りがソナタ形式のそれに近いなと思います。

編成:AATBarによる四重奏

サックスの4重奏は大きく2パターンありまして、ソプラノ、アルト、テナー、バリトンからなる「SATBar」と、2本のアルト、テナー、バリトンからなる「AATBar」です。

よりメジャーなのは前者かなと思いますが、後者もそこそこあります。

前者はソプラノの目立つ音色と広い音域を使えるのがメリット。

後者はそのまま吹奏楽の標準的なパート割と同じなので、慣れた楽器を使って演奏できるのがメリットではないかと思います。

後者の方が落ち着いた響きになるような印象もあります。

例えば、慣れた楽器でアンサンブルコンテストに出たい!という団体さんには後者のAATBar編成がお勧めです。

 

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