POPSにも果敢にチャレンジ!クラシック作編曲家 田丸和弥の音楽日記

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金管六重奏曲「行列」 アンコンにおすすめ

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時のたつのは早いもので、今年もアンサンブルコンテストを意識する季節になりましたね。本日は、中級レベルまたは、そこに差し掛かろうとするみなさんにお勧めの一曲です。短い曲ではありますが、ソナタ形式のアレコレが詰め込まれた1作品になっておりますので、楽曲解析のお試しにも使える楽曲であると思います。

本記事には楽曲解析のヒントとなる部分も設けておりますので、これを元に楽曲を聞いてみたり、譜面を読んでみたりすると、いい練習になると思います。

 

では、本編をどうぞ!

 

 

金管六重奏曲「行列」 アンサンブルコンテストにおすすめ

動画

実音の参考演奏をお聴きください。

この演奏は設定テンポよりも大分快速テンポで、より楽しい感じになっているかなと思います。

本来の設定テンポの場合は、もう少しゆったり、ご年配な感じになるかなと思います。

www.youtube.com

作曲の動機

「金管六重奏を作ってみようかなぁ」と思ったから…なんです。インスピレーションが湧いて、とか、特別な旋律が思い浮かんで…とかではないんです。でも、得てしてそんなもんだったりします(苦笑)

出自と内容が相関するとは限りませんので、ご安心(何を???)ください。

編成

金管六重奏の中ではスタンダードな編成ではないかと思われます。2Tp,1Hr,2Tb,1Tubの編成となっております。

トロンボーンの譜面をユーフォニアムで演奏することはもちろん可能ですが、それ以外にもホルンの譜面をトランペットで演奏できるにした譜面もセットに含まれております。

楽曲解説

基本データ(調性、拍子等)

4分の2拍子、変ロ長調、アレグロモデラート(音源は少しテンポ速めです)、ソナタ形式の楽曲で、元気よく行進しているかのような第一主題とコラール風の第二主題により構成されています。

中味のからくりについて

短く、比較的かる~い曲ではあるのですが、実はそこそこ主題操作が行われている楽曲であったりします。

主題操作については、こちらの記事をご覧ください。

www.petit-orchestra.jp

この曲を構成する主題的要素は、3つ

  • 第一主題
  • ブリッジに表れるちょっとした動機
  • 第二主題

のみで、シンプルな作りとなっております。

 

全てを取り上げることはしませんが、主となるものや、楽譜を読み解くためのキーとなるもののみご紹介してみます。

 

提示部 第一主題

トランペット1st(譜例の一番上のパート)にて、全容が示されます。

第一主題

第一主題

第一主題は、この通りなのですが、この曲を構成する動機という意味においては、もう少し細かいパーツに分ける必要があります。すなわち、青枠、黄枠、薄緑枠の部分で、これらが楽曲内でよく使われている主要なものです。

主題の操作とは何も展開部のみで行われるものばかりではありません、提示部の段階でも密かにされていたりするもので、その一番最初のポイントとして、楽譜の一番下、チューバパートにトランペット1stの黄枠と同じ音型が表れているのがおわかりでしょうか。また黄枠を少し拡張した赤下線ですが、右側(トロンボーンパート)にも引かれているのがお分かりでしょうか?これは、トランペット1stの形を上下さかさまにひっくり返した形となっておりまして、反行形となっています。

ソナタの楽曲はこのような形で、主題をこねくり回して、主題を「言い倒し、主調していく」楽曲です。演奏者はその点を理解しているとより興味深く演奏に取り組めますし、聞き手にも伝わる演奏ができるでしょう。ということで、楽曲を分析してみるのをお勧めします。最初は「ウォーリーをさがせ!」のようなゲーム感覚で楽譜を眺めるのをお勧めします。たとえば、「楽曲全体からこれらの形がどれだけあるかを探してみるゲーム」のような感覚で、探してみてくださいね。

 

ブリッジ

続いて第一主題と第二主題の間、ブリッジの部分です。

ここは、主に第二主題への転調のために設けられたものですが、第一主題と第二主題を関連付けるクッションのような役割も果たしています。

ブリッジ

ブリッジ

このブリッジで初めて表れる大事な動機は赤枠の部分です。特に内側の枠で囲まれた16分音符2つ+8分音符の形は良く出てきますので、ご注目ください。

この音形が第一主題と第二主題をつなぐ役目を果たします。

 

さて、肝心のブリッジの旋律ですが、メインはTb2に表れるもので、これはほとんどそのまま第一主題の最初4小節と同じ形をしています。

薄黄緑の枠は第一主題の譜面で紹介した動機の反行形で、第一主題の部分で紹介したトロンボーン同様これも主題操作の一つです。

 

提示部 第二主題

ここの主題もトランペット1stに示されます。

第二主題

第二主題

ブリッジの主題が第一と第二主題をつなぐといった意味が赤枠です。第二主題がしばらく流れてからブリッジの動機が表れることで、「あれ?これ前に聴いたかも??」という効果を狙っています。

 

展開部

主題操作の見せ所です。一部表示いたします。

ここまで出てきた部分のどれにあたるのか、ご想像の上ご覧ください。

 

展開部の最初の部分です。

展開部1

展開部1

展開部の後半には「逆行形」も出てきます。

以下のように、提示部第一主題の最後の部分が、展開部では逆行形で使われています。

32分音符や16分音符の形が装飾音符になっており、わかりにくくなっていますが、矢印のように後ろから音をたどってみると、上の主題を前から読んだのと同じになっているのがわかるでしょうか?(音部記号および調号が見切れていますが、ト音記号でファにシャープが付いています)

展開部2

展開部2

 

逆行形は少しわかりにくいですが、それ以外の形については、この曲においては比較的単純に使われておりますので、楽曲解析の練習にも最適と言えるでしょう。

難易度

1stトランペットの最高音がF(上第1間のソ)、ホルンの最高音がCes(上第1間のソ♭)、1stトロンボーンの最高音がF(上第3間のファ)となっており、音域的には中級かもう少し簡単くらいなものとなっています。

ただし、良く合わせたり、練習を積み重ねることで、1段階上の曲にチャレンジすると成長のチャンスもグッと増えますので、初級~中級に差し掛かろうとしているくらいのみなさんにお勧めの楽曲です。

ただし、良く合わせたり、練習を積み重ねることで、1段階上の曲にチャレンジすると成長のチャンスもグッと増えますので、初級~中級に差し掛かろうとしているくらいのみなさんにお勧めの楽曲です。

楽譜入手

リンク先のHID Online Storeにて入手可能です。

hid.shop-pro.jp

 

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