普段何気なく使っているピアノのペダル。使うのはいつも右のばっかり…あれ、左のペダルを踏むとどうなるんだっけ?
あれれ、2本3本???
今日はそんなピアノのペダルに注目してみました。
ピアノのあのペダルの機能は何?
グランドピアノのペダル
グランドピアノには2本ないし3本のペダルがついています。
ダンパーペダル
一番右側に配置されるペダルです。アップライトピアノにも付いてます。どんなピアノにも付いている必須機能を持つペダルです。踏むとすべての弦のダンパーが解放されます。音を伸ばす効果があります。
例えば分散和音を演奏する場合などに、打鍵した後にも音が延びるとすべての和音がきれいに聞こえますよね。充実した響きをつくるためのペダルとも言えます。
例えば、下矢印の時点では、下の第譜表のような音が鳴っているイメージです。あくまでイメージで、例えばピアノの音は減衰音であり、高い音は早く音が小さくなります。ということを考えると、矢印の時点ではF音はほとんど聞こえなくなっているでしょう。1拍目で演奏されますが、最低音のAbは弦が太く長いため、3拍目の時点でもかなり大きく聴こえるでしょう。
もう一点、ダンパーペダルは全ての弦を解放するので、叩いた弦以外にも共振によって他の音を担当する弦が響くことによって、より複雑で奥深い響きを作ることにもなります。
そのため、実際に鳴っている音はこの図に記されたものよりずっとずっと複雑でしょう。
あくまで主に聞こえる音、ダンパーペダルの役割のイメージとしてご覧ください。
演奏記号
このペダルの使用ついては、記号で指定されることがあります。
Pedをつなげたような記号ですね。ペダルオフする部分に花のようなマークが点けられることもあります。
また、線で指定されているものも見たことがあります。
が、当然使うべきだろう?と思われる譜面に全く書かれていないこともあります。
この場合は、奏者に任されているととらえてよいでしょう。
演奏を生かすも殺すも、ダンパーペダルにかかっていると言っても過言ではないくらい大切なペダルです。
ダンパーは超高音域にはついていない!
「ダンパーペダルを踏んでないのに、音が延びるな?」と思ったことはございませんか?そうなんです、超高音域にはダンパーがついてないんですね。
理由として考えられるのは以下のようなものでしょうか。
- 弦が短くて、余韻が短く邪魔をしにくい
- 高音は響きを濁らせにくい
- 以上の特性から音が延びないとむしろ存在感がなくなる危険性がある
実用面を考えて設計されているのですね。
昔のピアノは残響が短かく、クリアな響きがした
ショパンが現役で使っていたとされるモデルでの演奏動画です。
残響が大分短いのがわかるでしょうか。打鍵もマイルドで軽いですね。
他、Wikipediaの「ピアノ」の「歴史」の欄に、現代のピアノと古いピアノで同じ曲を演奏したときの聞き比べができます。とっても印象が違いますので、ご興味あるかたは是非覗いてみてください。
聞き比べを通して、ダンパーペダルの機能をわかっていただけると思います。
ソステヌートペダル
高価なグランドピアノにおいて、このペダルがついていることがあります。2本ペダルの場合に省略されるのはこのペダルです。
踏んだ時点で押していた鍵盤のダンパーが解放されます。ということは、踏んだ時点で押していた鍵盤の音のみ伸びる効果があります。
踏んだ後に押した鍵盤のダンパーは解放されず、音が短くなります。
例えば、最初に和音を伸ばしたままの状態で、スタッカートの旋律を演奏したい場合、などに使えるペダルでしょう。
これは面白い機能ですね、他にももっと凝った使い方ができるかもしれません。考えてみると楽しいかも!
シフトペダル(ウナコルダ)
一番左側に配置されるペダルです。ハンマーが右側に少しずれます。
ピアノの弦は低音は1本、真ん中は2本、高音域は3本の弦で1つの音を構成していますが、これを叩くハンマーがずれるので、1本、2本のところは中央からずれた位置を叩くようになる、3本のところは2本のみ叩くようになる。という効果が得られます。
これによって、音量が小さくなるのも確かなのですが、音色が柔らかくなるような効果があります。
このペダルは楽譜上で指示されます。
"u.c.","una corda"(ウナコルダ)の指示で、シフトペダルを踏みます。
"t.c","tre corda"(とれコルダ)の指示でシフトペダルを離します。
アップライトピアノ
アップライトピアノにも2本と3本ついているものがあります。
はい、これは我が家のアップライトピアノのペダルです。年期入っていて、サビが…
お目汚し失礼します。
気を取り直して、アップライトピアノのペダルの説明にうつります。
ダンパーペダル。
グランドピアノと同じ効果です。ついている場所も一番右側ですね。
消音ペダル
アップライトピアノの真ん中についていることがあります。2本ペダルの場合はこのペラづが省略されます。
これは、演奏効果を狙っているというよりは、一般家庭での騒音対策につけられたものと思われます。
弦に厚めのフェルトを押し付けて、音量を下げる効果があります。
画像を見てもらえるとわかるのですが、ペダルを踏みっぱなしの状態で保持するためのでっぱりがあります。
練習時の防音対策用なので繊細に踏みかえたりする必要がない、むしろ、練習中ずっと踏んでいるのは大変なので、このようになっています。
ソフトペダル
アップライトピアノの左側についているペダルです。音が若干弱くなるペダルです。シフトペダルのように、打弦の位置を変えるものではなく、グランドピアノのシフトペダルのような音色変更効果には乏しいと考えられます。
小ネタ ソステヌートペダルとダンパーペダルを同時に踏むと?
どちらもダンパーを操作するペダルでありますが、特定のダンパーのみ上げる「ソステヌートペダル」とすべてのダンパーを上げる「ダンパーペダル」はどちらが優先されるのでしょうか?
試してみました。
予想ではダンパーペダルが有効になる。だったのですが…はたして結果は。
予想通りでした(爆)
ダンパーペダルが作動しました。そりゃそうだわ。
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